基準エネルギー消費効率
ストーブは2002年に省エネ法の対象となり、2019年に最新の改正が行われました。その告示は、2002年経済産業省告示第432号(制定)「ストーブのエネルギー消費性能の向上に関するエネルギー消費機器等製造事業者等の判断の基準等」、最新改正2019年経済産業省告示第46号です。
その対象範囲は石油ストーブとガスストーブのうち、密閉式(給排気を外気とやり取りするもの)と半密閉式(排気のみ外気に排出するもの)のものです。比較的冬季の気温が厳しくない地域では、開放式(給・排気ともに室内に行うもの)の石油(またはガス)ストーブを使っている世帯が多いと思われますが、それらは対象とはなっておりません(下図参照)。
ストーブのエネルギー消費効率は「熱効率(%)」です。ストーブの熱効率は以下のように算定されます。
熱効率=(消費した燃料の発熱量-排気ガスが持ち去る熱量)/消費した燃料の発熱量×100
<ガスストーブの基準エネルギー消費効率>
対象となるガスストーブの対象範囲については、開放式ガスストーブ及び半密閉式ガスストーブは除外されています。その理由は、開放式ガスストーブは「熱効率を燃焼効率とした場合約100%であり、エネルギー消費効率の改善余地がほとんどないこと、またエネルギー消費効率の測定方法が確立されていないため」とされ、半密閉式ガスストーブは、「出荷台数が約500台、エネルギー消費量が約200kL(ともに2000年)と極めて少ないため」とされています。
さらに、密閉式についても密閉式強制対流式のみであり、現時点で製品出荷がないもの(放射式、自然対流式)については、将来的にも製品出荷の可能性が少ないため、下表に示すように区分は「密閉式強制対流式」のみとなっています。
区分 | 給排気方式 | 伝熱方式 | 機 能 |
---|---|---|---|
1 | 密閉式 | 強制対流式 | ストーブ前方に熱を放流する |
対象となった密閉式強制対流式ガスストーブの設定された基準エネルギー消費効率は下表の通り82%です。
区 分 | 基準エネルギー消費効率(%) |
---|---|
1 密閉式(強制対流式) | 82.0 |
<石油ストーブの基準エネルギー消費効率>
次に石油ストーブについては、その適用範囲は以下の製品を除外しています。
・開放式石油ストーブ
・密閉式石油ストーブのうち燃料消費量が2.75L/hを超えるもの
・半密閉式石油ストーブのうち燃料消費量が4.0L/h超えるもの
開放式石油ストーブを除外したのはガスストーブと同じ理由であり、燃料使用量の制限は出荷台数が少ないことによります。
省エネ法においては、石油ストーブは(1)給排気方式(密閉式、半密閉式)と(2)伝熱方式(放射式、自然対流式、強制対流式)によって下表のように区分されており、製品の普及状況から密閉式の放射式は除外されて、AからEまでの5区分となっています。
分類 | 給排気方式 | 伝熱方式 | 機 能 | 省エネ法の区分 |
---|---|---|---|---|
1 | 密閉式 | 放射式 | ストーブ前方、上方に熱を放散する | 除外 |
2 | 自然対流式 | ストーブ全周に熱を放射する | 自然対流式(A) | |
3 | 強制対流式 | ストーブ前方に熱を放流する | 強制対流式(B) | |
4 | 半密閉式 | 放射式 | ストーブ前方、上方に熱を放散する | 放射式(C) |
5 | 自然対流式 | ストーブ全周に熱を放射する | 自然対流式・強制対流式(D、E) | |
6 | 強制対流式 | ストーブ前方に熱を放流する |
これらの区分ごとの設定された基準エネルギー消費効率は下表の通りです。「半密閉式の放射式以外のもので燃料消費量が1.5L/hを超えるもの」は算定式で規定され、それ以外は基準値で規定されています。これらの基準値を見ると、密閉式の基準値は80%台、半密閉式は60%台の数値となっています。
区 分 | 基準エネルギー消費 | ||
---|---|---|---|
給排気方式 | 伝熱方式 | 区分名 | 効率又はその算定式(%) |
密閉式 | 自然対流式 | A | 83.5 |
強制対流式 | B | 86.0 | |
半密閉式 | 放射式 | C | 69.0 |
放射式以外のものであって最大の燃料消費量が1.5L/h以下のもの | D | 67.0 | |
放射式以外のものであって最大の燃料消費量が1.5L/hを超えるもの | E | E=-3.0L+71.5 |
E:基準エネルギー消費効率(%)
L:最大燃料消費量(L/h)
なお、本基準の適用年度は2006年以降の各年度とされています。また、ストーブの製造事業者等は、次の事項を製品等に表示することとされています。
(1) 品名又は形名
(2) 区分名(石油ストーブに限る。)
(3) 最大燃料消費量(規模制限あり)
(4) エネルギー消費効率
(5) 製造事業者等の氏名又は名称
<参考文献>
1)2002年経済産業省告示第432号(制定)「ストーブのエネルギー消費性能の向上に関するエネルギー消費機器等製造事業者等の判断の基準等」、最新改正2019年経済産業省告示第46号
2)経済産業省:総合資源エネルギー調査会省エネルギー基準部会、ガス・石油機器判断基準小委員会、最終とりまとめ、2002年4月3日