冷蔵庫のエネルギー消費効率

基準エネルギー消費効率

 冷蔵庫のエネルギー消費効率は経済産業省の省エネ法施行規則によって年間消費電力量と設定されています1)。そして、基準エネルギー消費効率(省エネ基準)は経済産業省の告示によって以下のように設定されています2)

 家庭用冷蔵庫の基準エネルギー消費効率は以下の通りとされています。
 ●「区分・目標基準値」の表-1に示す基準
 JIS C 9801(2006)で規定する方法により測定した年間消費電力量(kWh/年)。
 ●「区分・目標基準値」の表-2に示す基準
 JIS C 9801-3(2015)で規定する方法により測定した年間消費電力量(kWh/年)。

表-1 目標年度が2010年度以降の各年度(2020年度まで)のもの

区分名冷蔵庫の種類冷却方式定格容積(L)冷蔵室区画
の扉の枚数
基準エネルギー消費効率の算定式
A冷蔵庫及び冷凍冷蔵庫冷気自然対流方式E=0.844V+155
B冷気強制循環方式300L以下E=0.774V+220
C
300L超  1枚E=0.302V+343
D 2枚以上E=0.296V+374
備考:E及びVは、次の数値を表すものとする。
E:基準エネルギー消費効率(単位:kWh/年)
V:調整内容積(冷凍室の定格内容積に、当該冷凍室がスリースター室タイプのものにあっては2.20を、ツースター室タイプのものにあっては1.87を、ワンスター室タイプのものにあっては1.54を乗じた数値に冷凍室以外の貯蔵室の定格内容積を加え、小数点以下を四捨五入した数値)(単位 リットル)
出所)電気冷蔵庫のエネルギー消費性能の向上に関するエネルギー消費機器等製造事業者等の判断の基準等、令和元年7月1日経済産業省告示第46号

表-2 目標年度が2021年度以降の各年度のもの

区分名冷蔵庫の種類 冷却方式定格容積(L)基準エネルギー消費効率の算定式
 a冷蔵庫及び冷凍冷蔵庫冷気自然対流方式 - E=0.735・V+122
 b冷気強制循環方式 375L以下 E=0.199・V+265
 c 375L超 E=0.281・V+112
備考:E及びVは、次の数値を表すものとする。
 E:基準エネルギー消費効率(kWh/年)
 V:調整内容積(各貯蔵室の定格内容積に調整内容積係数を乗じた数値の総和であって、次に掲げる算定式により算出し、小数点以下を四捨五入した数値)(L)
 V=∑Kci×Vi (i=1~n)
 Kci:調整内容積係数(次の表の左欄に掲げる貯蔵室の種類ごとに右欄に掲げる数値)
 Vi:定格内容積(次の表の左欄に掲げる貯蔵室の種類ごとの数値)(L)
 n:冷蔵庫及び冷凍冷蔵庫の貯蔵室数
<貯蔵室の種類> <調整内容積係数 Kci
  パントリー      0.38
  セラー        0.62
  冷 蔵        1
  チラー        1.1
  ゼロスター     1.19
  ワンスター     1.48
  ツースター     1.76
  スリースター又はフォースター 2.05
出所)1999年通商産業省告示第704号(制定)「電気冷蔵庫のエネルギー消費性能の向上に関するエネルギー消費機器等製造事業者等の判断の基準等」、最終改定2019年経済産業省告示第46号

 この表に示すように、 基準エネルギー消費効率(E)は、冷蔵庫の調整内容積(V)に応じてが変わっています。ここで、調整内容積とは「各貯蔵室の定格内容積に調整内容積係数を乗じた数値の総和」のことを言います。

 これは各貯蔵室の設定温度が異なるため、必要となる冷蔵負荷が変わることを考慮するためです。このため、調整内容積係数はその設定温度に応じて冷蔵室(係数は1)の容積の何倍に相当するかを示すものであり、この係数を各貯蔵室容積に乗じたものを合計して、調整内容積を算定します。標準的な冷蔵室の設定温度は4℃、セラーは12℃、ツースターは-12℃などであり(JISで決められています)、この設定温度を用いて各貯蔵室の調整内容積係数は以下のように算定されています。

 調整内容積係数=(外気温25℃-貯蔵室設定温度)/(外気温-冷蔵室設定温度4℃)
 セラーの調整内容積係数=(25-12)/(25-4)=0.62
 冷蔵室の調整内容積係数=(25-4)/(25-4)=1
 ツースターの調整内容積係数=(25-(-12))/(25-4)=1.76

年間消費電力量の測定方法

 年間の消費電力量は、冷蔵庫の設置の仕方、各庫内の温度設定、周囲温度やドアの開閉頻度、新しく入れる食品や飲料の量や温度、使い方により変動します。日本では、年間消費電力量の計算はJIS C9801の測定基準に基づいており、以下のように測定されています3)

<JIS C9801:2015「消費電力測定方法」>
①周囲温度
 周囲温度32℃、205日分と周囲温度16℃、160日分の1日当りの消費電力の合計
②投入負荷
 冷蔵室:12g/L(75Lの場合900g、ペットボトル水)
 冷凍室:4g/L(製氷皿水)(20Lの場合80g)
③扉開閉回数
 冷蔵室:1回(負荷投入)/試験
 冷凍室:1回(負荷投入)/試験
   (各1分間)

※JISは著作権で守られているようです。一般社団法人日本産業標準調査会のホームページから会員登録してJISの番号検索を行い閲覧することは可能です。ただし、pdfのダウンロードはできませんので、pdfの取得、印刷物は購入することになります。興味のある方は同調査会のWebサイトをご確認ください4)

<参考文献>
1)1979年通商産業省令第74号「エネルギーの使用の合理化等に関する法律施行規則」
2)1999年通商産業省告示第704号「電気冷蔵庫のエネルギー消費性能の向上に関するエネルギー消費機器等製造事業者等の判断の基準等」(制定)、最終改定2019年経済産業省告示第46号
3)一般社団法人日本電気工業会、製品分野別情報、家電機器、家電製品・機器情報、電気冷蔵庫、消費電力量の測定方法、
https://www.jema-net.or.jp/Japanese/ha/reizouko/knowledge7.html
4)一般社団法人日本産業標準調査会 、公式Webサイト
https://www.jisc.go.jp/index.html