基準エネルギー消費効率
わが国では、経済産業省が省エネ法に基づいてエネルギー消費機器ごとに基準消費エネルギー効率を提示し、製造事業者等にエネルギー消費効率の向上を指導していく制度(トップランナー制度)を採用しています(本サイトの「エネルギー消費機器のトップランナー制度と省エネラベリング制度」を参照)。ここからは個別のエネルギー消費機器(主として家電製品)ごとに、国が定めた基準エネルギー消費効率について説明していきます。その第1回はテレビ受信機です。
液晶テレビの2025年までの基準エネルギー消費効率
液晶テレビの 基準エネルギー消費効率(図表等で省略表示する場合は「省エネ基準」を使います) は経済産業省の告示に示されており、下表の通りです1)。なお、テレビの場合は基準エネルギー消費効率の指標は年間消費電力量です。この表は目標年度が2025年度までに出荷される製品を対象としており、2026年度以降は次に説明します。
画素数(FHD以上:2K、4K、8Kと、その他のもの:2K未満)、画面サイズ、動画表示(ノーマル、倍速、4倍速)、付加機能の数(ダブルデジタルチューナー、DVD、HDD、ブルーレイディスクレコーダーの内蔵数)により、基準エネルギー消費効率(年間消費電力量)を区分しています。
下の2つ表は画素数区分(FHD以上とその他のもの)毎に基準エネルギー効率を示しています。画面サイズが小さいもの(19インチ未満)は一定値で設定され、それ以外は画面サイズの関数で設定されています。画素数や画面サイズが大きくなると消費エネルギーが増加するのは新着記事(「液晶テレビ①-画面サイズと画素数」を参照)にも示した通りですが、経済産業省の告示ではこれ以外にも上記の機能にも着目して液晶テレビを区分しています。
表-1 液晶テレビの基準エネルギー消費効率(目標年度2025年度まで、FHD以上)
画素数 | サイズ | 動画表示 | 付加機能 | 区分名 | 基準エネルギー消費効率 又はその算定式 |
---|---|---|---|---|---|
FHD | 19V型未満 | 液晶ノーマル | 下記以外のもの | DA | E=59 |
付加機能を1つ有するもの | DA1 | E=71 | |||
付加機能を2つ有するもの | DA2 | E=83 | |||
付加機能を3つ有するもの | DA3 | E=95 | |||
液晶倍速 | 下記以外のもの | DB | E=74 | ||
付加機能を1つ有するもの | DB1 | E=86 | |||
付加機能を2つ有するもの | DB2 | E=98 | |||
付加機能を3つ有するもの | DB3 | E=110 | |||
19V型以上 32V型未満 | 液晶ノーマル | 下記以外のもの | DC | E=2.0S+21 | |
付加機能を1つ有するもの | DC1 | E=2.0S+33 | |||
付加機能を2つ有するもの | DC2 | E=2.0S+45 | |||
付加機能を3つ有するもの | DC3 | E=2.0S+57 | |||
液晶倍速 | 下記以外のもの | DD | E=2.0S+36 | ||
付加機能を1つ有するもの | DD1 | E=2.0S+48 | |||
付加機能を2つ有するもの | DD2 | E=2.0S+60 | |||
付加機能を3つ有するもの | DD3 | E=2.0S+72 | |||
液晶4倍速 | 下記以外のもの | DE | E=2.0S+58 | ||
付加機能を1つ有するもの | DE1 | E=2.0S+70 | |||
付加機能を2つ有するもの | DE2 | E=2.0S+82 | |||
付加機能を3つ有するもの | DE3 | E=2.0S+94 | |||
32V型以上 | 液晶ノーマル | 下記以外のもの | DF | E=6.6S-126 | |
付加機能を1つ有するもの | DF1 | E=6.6S-114 | |||
付加機能を2つ有するもの | DF2 | E=6.6S-102 | |||
付加機能を3つ有するもの | DF3 | E=6.6S-90 | |||
液晶倍速 | 下記以外のもの | DG | E=6.6S-111 | ||
付加機能を1つ有するもの | DG1 | E=6.6S-99 | |||
付加機能を2つ有するもの | DG2 | E=6.6S-87 | |||
付加機能を3つ有するもの | DG3 | E=6.6S-75 | |||
液晶4倍速 | 下記以外のもの | DH | E=6.6S-89 | ||
付加機能を1つ有するもの | DH1 | E=6.6S-77 | |||
付加機能を2つ有するもの | DH2 | E=6.6S-65 | |||
付加機能を3つ有するもの | DH3 | E=6.6S-53 |
2 「受信機型サイズ」とは、駆動表示領域の対角寸法をセンチメートル単位で表した数値を2.54で除して小数点以下を四捨五入した数値をいう。
3 「動画表示」とは、次のものとする。
液晶ノーマル:液晶パネルを用い、1秒間に60コマ以上120コマ未満の静止画を表示するもの
液晶倍速:液晶パネルを用い、1秒間に120コマ以上240コマ未満の静止画を表示するもの
液晶4倍速:液晶パネルを用い、1秒間に240コマ以上の静止画を表示するもの
4 「付加機能」とは、ダブルデジタルチューナー、DVD(録画機能を有するものに限る)、HDD、ブルーレイディスクレコーダーをいう。
5 「E」及び「S」は次の数値を表すものとする。
E:基準エネルギー消費効率(単位:kWh/年)
S:受信機型サイズ(単位:インチ)
出所)1999年通商産業省告示第192号「テレビジョン受信機のエネルギー消費性能の向上に関するエネルギー消費機器等製造事業者等の判断の基準等」、最終改定2021年経済産業省告示第111号
表-2 液晶テレビの基準エネルギー消費効率(目標年度2025年度まで、その他のもの)
画素数 | サイズ | 動画表示 | 付加機能 | 区分名 | 基準エネルギー消費効率 又はその算定式 |
---|---|---|---|---|---|
その他 のもの | 19V型未満 | 液晶ノーマル | 下記以外のもの | DI | E=44 |
付加機能を1つ有するもの | DI1 | E=56 | |||
付加機能を2つ有するもの | DI2 | E=68 | |||
付加機能を3つ有するもの | DI3 | E=80 | |||
液晶倍速 | 下記以外のもの | DJ | E=59 | ||
付加機能を1つ有するもの | DJ1 | E=71 | |||
付加機能を2つ有するもの | DJ2 | E=83 | |||
付加機能を3つ有するもの | DJ3 | E=195 | |||
19V型以上 32V型未満 | 液晶ノーマル | 下記以外のもの | DK | E=2.0S+6 | |
付加機能を1つ有するもの | DK1 | E=2.0S+18 | |||
付加機能を2つ有するもの | DK2 | E=2.0S+30 | |||
付加機能を3つ有するもの | DK3 | E=2.0S+42 | |||
液晶倍速 | 下記以外のもの | DL | E=2.0S+21 | ||
付加機能を1つ有するもの | DL1 | E=2.0S+33 | |||
付加機能を2つ有するもの | DL2 | E=2.0S+45 | |||
付加機能を3つ有するもの | DL3 | E=2.0S+57 | |||
液晶4倍速 | 下記以外のもの | DM | E=2.0S+43 | ||
付加機能を1つ有するもの | DM1 | E=2.0S+55 | |||
付加機能を2つ有するもの | DM2 | E=2.0S+67 | |||
付加機能を3つ有するもの | DM3 | E=2.0S+79 | |||
32V型以上 | 液晶ノーマル | 下記以外のもの | DN | E=6.6S-141 | |
付加機能を1つ有するもの | DN1 | E=6.6S-129 | |||
付加機能を2つ有するもの | DN2 | E=6.6S-117 | |||
付加機能を3つ有するもの | DN3 | E=6.6S-105 | |||
液晶倍速 | 下記以外のもの | DO | E=6.6S-126 | ||
付加機能を1つ有するもの | DO1 | E=6.6S-114 | |||
付加機能を2つ有するもの | DO2 | E=6.6S-102 | |||
付加機能を3つ有するもの | DO3 | E=6.6S-90 | |||
液晶4倍速 | 下記以外のもの | DP | E=6.6S-104 | ||
付加機能を1つ有するもの | DP1 | E=6.6S-92 | |||
付加機能を2つ有するもの | DP2 | E=6.6S-80 | |||
付加機能を3つ有するもの | DP3 | E=6.6S-68 |
具体的に基準エネルギー消費効率を算定してみましょう。
FHD(画素数が2K以上)で、画面サイズが32インチ、液晶ノーマル、付加機能を1つもつもの(省エネ区分DF1)の基準エネルギー消費効率の算定式とその計算結果は以下の通りです。
E=6.6×S-114=6.6×32-114=97.2kWh/年
この結果より、このタイプの液晶テレビのエネルギー消費効率( 年間消費電力量 )の目標は97.2kWh/年です。この区分タイプで年間消費電力量が100kWh/年の液晶テレビの省エネ基準達成率は97.2%(=97.2/100)となります。
上の表で、画素数は「FHD以上」と「その他のもの」の2つだけに分類されています。「FHD以上」に含まれる2Kの画素数は200万画素、8Kは3,300万画素なので両者の消費電力量は大きく異なると思うのですが、同じ分類で評価されています。実際に、8Kテレビの定格消費電力は2Kテレビの約2倍になっています(55インチテレビの比較より)。そして、8Kテレビの省エネ基準達成率は低くなっています(全体平均で96.7%です)。
この分類のもとでは、同じ機能のものを比較できるようにする省エネ基準達成率(または多段階評価)においてやや公平性を欠くように思われます。しかし、省エネという観点からはエネルギー消費量が多い8Kなどの製品の評価点が低くなるのは望ましいと言えるかもしれません。
液晶テレビ、有機ELテレビの2026年以降の基準エネルギー消費効率
次に、2021年5月21日に改定された目標年度が2026年度以降の製品の基準エネルギー消費効率は以下の通りです。本改訂では現在出荷のないブラウンテレビ及びプラズマテレビを除外し、従来から対象の液晶テレビに加えて有機ELテレビを対象としています。
そして、その区分として下表のような4分類とし、それぞれ目標となる基準エネルギー消費効率を設定しています。
表-3 テレビの基準エネルギー消費効率(目標年度2026年度以降)
区分名 | パネル種類 | 画素数 | 基準エネルギー消費効率 |
---|---|---|---|
a | 液 晶 | 2K未満 | E=0.00407 A+30.08 |
b | 2K以上4K未満 | E=0.00625 A+56.13 | |
c | 4K以上 | E=0.00728 A+62.99 | |
d | 有機EL | - | E=0.02136 A-16.40 |
1 「2 K 」とは、垂直方向の画素数が1080、かつ水平方向の画素数が1920のものをいう。以下同じ。
2 「4K」とは、垂直方向の画素数が2160、かつ水平方向の画素数が3840のものをいう。以下同じ。
3 「E」及び「A」は次の数値を表すものとする。
E:基準エネルギー消費効率(単位:kWh/年)
A:画面面積(単位:cm2)
なお、下表の付加機能の年間消費電力量を控除することができるとされています。また、8K テレビについての配慮もされています。詳細は最新の告示を参照ください1)。
表-4 付加機能の考慮
付加機能 | 年間消費電力量 (kWh/年) |
---|---|
2Kチューナーを2つ以上内蔵 | 2.8 |
4Kチューナーを2つ以上内蔵 | 5.5 |
録画装置内蔵(HDD3.5 インチ) | 11.0 |
録画装置内蔵(HDD2.5 インチ) | 4.8 |
録画装置内蔵(SSD) | 3.7 |
ブルーレイディスクレコーダー又はDVDレコーダー内蔵(4K以上に対応) | 23.9 |
ブルーレイディスクレコーダー又はDVDレコーダー内蔵(4K未満に対応) | 16.7 |
動画倍速表示(4K以上に対応) | 18.3 |
動画倍速表示(4K未満に対応) | 17.0 |
なお、改定された告示の公示に先立って行われたワーキングとりまとめ2)においては、新たな目標基準値による今後の省エネ改善はテレビ全体で32.4%の改善が見込まれるとされています。
エネルギー消費効率の算定方法
次に、テレビのエネルギー消費効率は年間消費電力量ですが、どのように算定されるかを以下に示します。エネルギー消費効率の算定方法も、2021年5月の新しい告示1)において、目標年度によって異なる方法が示されています。
基本的には動作時消費電力と待機時消費電力を、仮定した動作時間及び待機時間を乗じて算定します。ただし、動作時消費電力は省エネモードを利用する場合を考慮していることと、電子番組表(EPG)を取得する際の消費電力量が考慮されています。
2025年度までの算定方法において、1日の平均動作時間は4.5時間(年間1642.5時間)、待機時間は19.5時間(年間7117.5時間)を想定しています(表-5参照)。自宅中心の生活スタイルになっている人は、テレビの想定動作時間が4.5時間ということを考慮して、テレビの省エネラベルに書かれている年間消費電力量を評価することが必要です。
なお、2026年度以降の算定方法においては、録画装置内蔵テレビとそうでないテレビとを区別して算定することとし、動作時間は5.1時間(年間1861.5時間)と設定しており、若干動作時間の設定値が長くなっているようです(表-6参照)。
表-5 2025年度までの製品のエネルギー消費効率(年間消費電力量)の算定方法
E={(PO-PA/4)×1642.5+PS×(7117.5-tepg)+Pepg×tepg}/1000 この式において、E、PO、PS、PA、Pepg、tepgは、それぞれ次の数値を表すものとする。 E :年間消費電力量(kWh/年) PO:動作時消費電力(W) PS:待機時消費電力(W) PA:節電機能による低減消費電力(W) Pepg:電子番組表(以下「EPG」という。)取得時の消費電力(W) tepg:年間基準EPG取得動作時間(h) (1) PO:動作時消費電力(W) 動作時消費電力は、映像信号としてIEC62087 Ed.2.0 に規定するIEC 62087:2008 video content_DVD_60又はIEC 62087:2008 video content_BDのブロードキャストコンテンツのうち垂直周波数が60Hz用の動画信号(以下「動画映像信号」という。)を用いて動画表示をする際の消費電力の平均値とし、節電機能が作動しない状態で測定すること。 なお、入力信号により消費電力が異なるよう設計されたものの場合には、入力信号ごとに消費電力をそれぞれ測定し、それらの消費電力の最大値と最小値の平均を動作時消費電力とすること。 (2) PS:待機時消費電力(W) 待機時消費電力は、主電源によって電源を切った場合の消費電力と、主電源を入れた状態であってリモコンによって電源を切った場合の消費電力の平均値とする。ただし、電源スイッチが主電源又はリモコンのいずれか一方のみのものについては、電源スイッチを切った状態の消費電力を待機時消費電力とする。 (3) PA:節電機能による低減消費電力(W) 節電機能による低減消費電力は、映像信号として動画映像信号を用い、PA1、PA2の値のうち大きい数値とする。 ① PA1:周辺照度に応じて映像を自動的に制御する機能(以下「自動輝度調整機能」という。)による低減消費電力(W)自動輝度調整機能による低減消費電力は、周辺照度300ルクス以上の状態において測定した消費電力又は節電機能スイッチを切った状態の消費電力のいずれか小さい方から周辺照度0ルクスの状態において測定した消費電力を差し引いた数値とする。 ② PA2:節電スイッチによる低減消費電力(W) 節電機能スイッチによる低減消費電力は、節電機能スイッチを切った状態の消費電力から節電機能スイッチを入れた状態の消費電力を差し引いた数値とする。 (4) Pepg:EPG取得時の消費電力(W) EPG取得時の消費電力は、デジタル放送用EPGデータ取得動作時の消費電力とする。 (5) tepg:年間基準EPG取得動作時間(単位時) 年間基準EPG取得動作時間は、1日当たりのデジタル放送用EPG取得動作時間に365を乗じた値とする。 (6) 測定条件 (1)から(4)までの測定は、次に掲げる場合を除き、日本産業規格C6101-1(1998)の3.1の一般的状態に規定する条件の下で行うものとする。 ① コントラスト及び明るさ並びにバックライト調整は、工場出荷時の位置に設定すること。ただし、使用者が最初に電源を入れた時、これらの画質モードを選択できるメニューが表示され、使用者が標準状態モードを選択できる機種にあっては標準状態(一般的に家庭で使用するメーカー推奨状態)に設定すること。 ② テレビジョン受信機の音声出力は、日本産業規格C6101-1(1998)の4.2.1の試験方法に規定されている設定とする。 ③ 衛星放送波受信アンテナ電源や付加機能類のうち、任意にON/OFFできるものは、OFFにすること。 ④ 測定は測定信号切換時も含めて受信機が十分安定な状態に達してから行うこと。 (7) 入力信号(1)から(4)までの消費電力の測定において、信号の入力は、次に定めるところによるものとする。 ① 地上放送波帯信号又はベースバンド信号の入力による測定 ア. 映像信号は、動画映像信号を用いることとする。 イ. 音声信号は、1kHz正弦波信号とすること。 ウ. アナログ入力信号は、日本産業規格C6101-1(1998)の3.3の高周波テレビジョン信号を用いること。なお、入力信号レベルは、-39dB(mW)とすること。 エ. デジタル入力信号レベルは、放送局による標準テレビジョン放送のうちデジタル放送及び高精細度テレビジョン放送の送信の標準方式に準拠した信号を入力信号として用いること。なお、入力信号レベルは、-49dB(mW)とすること。 ② 衛星放送波帯信号の入力による測定 ア. 映像信号は、動画映像信号を用いることとする。 イ. 音声信号は、1kHz正弦波信号とすること。 ウ. 入力信号は、11.7GHz~12.2GHzの周波数帯の放送衛星局による標準テレビジョン放送及び高精細度テレビジョン放送の送信の標準方式に準拠する第一中間周波数帯に変換された信号を用いること。なお、入力信号レベルは、-45dB (mW)とすること。 |
表-6 2026年度以降の製品の エネルギー消費効率(年間消費電力量)の算定方法
(1) 録画装置内蔵型テレビ E={(PO-PA/4)×1715.5+(Porec-PA/4)×146+Prec×146+Pepg×tepg+PS×(6752.5-tepg)}/1000 この式において、E、PO、PA、Porec、Prec、Pepg、PS、tepgはそれぞれ次の数値を表すものとする。 E :年間消費電力量(kWh/年) PO :動作時消費電力(W) PA :節電機能による低減消費電力(W) Porec:動作及び録画時消費電力(W) Prec :録画時消費電力(W) Pepg :EPG取得時の消費電力(W) PS :待機時消費電力(W) tepg :年間基準EPG取得動作時間(h) (2) 録画装置内蔵型テレビ以外のテレビ E={(PO-PA/4)×1861.5+Pepg×tepg+PS×(6898.5-tepg)}/1000 この式において、E、PO、PA、Pepg、PS、tepgはそれぞれ次の数値を表すものとする。 E:年間消費電力量(kWh/年) PO :動作時消費電力(W) PA :節電機能による低減消費電力(W) Pepg :EPG取得時の消費電力(W) PS :待機時消費電力(W) tepg :年間基準EPG取得動作時間(h) ① PO:動作時消費電力(W) ア.動作時消費電力は、IEC62087-2:2015 Ed.1.0に規定する動画映像信号の表示時の電力とすること。 イ.動画映像信号の入力端子はHDMI端子を基本とすること。ただし、HDMI端子を有しない場合は地上放送波帯信号入力とし、地上放送波帯信号入力も有しない場合は衛星放送波帯信号入力とすること。 ウ.測定は節電機能が作動しない状態で行うこと。 エ.動画映像信号の消費電力量は、積算電力計を用いて10分間測定した積算電力の値に6を乗じて求めること。 ②PA:節電機能による低減消費電力(W) 節電機能による低減消費電力は、PA1又はPA2とし、①POと同じ方法で測定すること。ただし、次のア又はイに掲げる事項については、ア又はイに定める条件で測定すること。なお、ア又はイの節電機能が作動している状態の時は、輝度条件(⑧測定条件のア(ⅰ)及び(ⅱ)の測定条件)は適用しない。 ア.PA1:自動輝度調整機能による低減消費電力(W) 自動輝度調整機能による低減消費電力は、周辺照度300ルクス以上の状態において測定した消費電力又は自動輝度調整機能を切った状態の消費電力のいずれか小さい方から周辺照度0ルクスの状態において測定した消費電力を差し引いた数値とすること。 イ.PA2:節電スイッチによる低減消費電力(W) 節電機能スイッチによる低減消費電力は、節電機能スイッチを切った状態の消費電力から節電機能スイッチを入れた状態の消費電力を差し引いた数値とすること。 ③ Porec:動作及び録画時消費電力(W) ア.動作及び録画時消費電力は、IEC62087-2:2015 Ed.1.0に規定する動画映像信号を表示した状態で内蔵のチューナー1系統と内蔵のHDD又はSSDを用いて番組録画を行っている状態の電力とすること。 イ.表示する動画映像信号の入力端子はHDMI端子を基本とすること。ただし、HDMI端子を有しない場合は地上放送波帯信号入力とし、地上放送波帯信号入力も有しない場合は衛星放送波帯信号入力とすること。 ウ.録画信号の入力端子は地上放送波帯信号入力を基本とすること。ただし、地上放送波帯信号入力を有しない場合は衛星放送波帯信号入力とすること。また、録画信号の映像音声は任意のものとし、HDMI端子を有しない場合で、かつ、内蔵するチューナー数が2つ以上の場合は、表示する動画映像信号と録画信号を異なるチューナーで処理すること。 エ.録画モードは受信したトランスポートストリーム信号をそのまま記録するモードとすること。 オ.測定は節電機能が作動しない状態で行うこと。 カ.動画映像信号の消費電力量は、積算電力計を用いて10分間測定した積算電力の値に6を乗じて求めること。 ④ Prec:録画時消費電力(W) ア.録画時消費電力は、リモコンで電源を入れることができる状態で内蔵のチューナー1系統と内蔵のHDD又はSSDを用いて録画を行っている状態の電力とすること。 イ.録画信号の入力端子は地上放送波帯信号入力を基本とすること。ただし、地上放送波帯信号入力を有しない場合は衛星放送波帯信号入力とすること。また、録画信号の映像音声は任意のものとすること。 ウ.録画モードは受信したトランスポートストリーム信号をそのまま記録するモードとすること。 エ.測定は節電機能が作動しない状態で測定すること。 ⑤ Pepg:EPG取得時の消費電力(W) EPG取得時の消費電力は、デジタル放送(電波法施行規則(昭和25年電波監理委員会規則第14号)第2条第1項第28号の8に規定するデジタル放送をいう。以下同じ。)用EPGデータ取得動作時の消費電力とする。 ⑥ PS:待機時消費電力(W) ア.待機時消費電力は、リモコンで電源を入れることができる状態での消費電力とすること。ただし、リモコンで電源を入れる機能がないものについては、本体の電源スイッチで電源を入れることができる状態での消費電力とすること。 イ.日本産業規格C62301:2016「家庭用電気機器−待機時消費電力の測定方法」で規定する試験条件、測定装置及び手順で測定すること。 ⑦ tepg:年間基準EPG取得動作時間(h) ア.年間基準EPG取得動作時間は、1日当たりのEPG取得動作時間に365を乗じた値とすること。 イ. EPGデータを取得する局数は東京都を基準とすること。 ウ.テレビを毎日視聴しEPGを取得していることを基本とすること。 エ.EPGは出荷時にOFFの設定であっても、EPG取得時の電力量は年間消費電力量の算出に入れること。 ⑧ 測定条件 消費電力の測定は、IEC62087-3:2015 Ed.1.0 [5 Measurement conditions]に規定する条件及び測定装置の下で行うこと。ただし、次のアからキまでに掲げる事項については、アからキまでに定める条件で測定すること。 ア.①から③までの測定の際に設定する輝度は、機器の最大輝度に応じて次の(ⅰ)又は(ⅱ)に定める事項のとおりにすること。 (ⅰ)機器の最大輝度が350cd/㎡未満であるときは、エネルギー消費効率の測定に用いる輝度設定を最大輝度の65%以上とすること。 (ⅱ)機器の最大輝度が350cd/㎡以上であるときは、エネルギー消費効率の測定に用いる輝度設定を228cd/㎡以上とすること。 イ.最大輝度を測定するときは、次の(ⅰ)から(ⅳ)までに定める事項のとおりにすること。 (ⅰ)ユーザーが選択可能な画質モードの中で最も高輝度となる設定とすること。 (ⅱ)自動調整機能を切ること。ただし、自動調整機能を切ることができない機器は画面が最も高輝度となる周辺光をセンサー部に入力すること。 (ⅲ)節電スイッチを切ること。 (ⅳ)輝度を安定させるため最低10分間ブロードキャストコンテンツを表示した上で、輝度を測定するときの映像信号IEC62087-2:2015 Ed.1.0[4.2.2.1 three bar video signal]に切り替え、表示されてから30秒±5秒後に画面中央の輝度を測定すること。 ウ.エネルギー消費効率を測定するときは、次の(ⅰ)から(ⅳ)までに定める事項のとおりにすること。 (ⅰ)出荷設定(IEC62087-3:2015 6.3.10.1 Default settings)から輝度を調節する項目以外を調節しないこと。 (ⅱ)自動調整機能を切ること。ただし、自動調節機能を切ることが出来ない機器はセンサー部において測定される周辺光条件をイの状態から変化させずに電力と輝度の測定を行うこと。 (ⅲ)節電スイッチを切ること。 (ⅳ)輝度を安定させるため最低10分間ブロードキャストコンテンツを表示した上で、輝度を測定するときの映像信号IEC62087-2:2015 Ed.1.0[4.2.2.1 three bar video signal]に切り替え、表示されてから30秒±5秒後に画面中央の輝度を測定すること。 エ.①から③までに掲げる事項の測定の際に設定する音声出力は、日本産業規格C6101-1:1998「テレビジョン受信機試験方法」4.2.1に規定されている設定にすること。 オ.①から⑥までに掲げる消費電力の測定の際は、BSアンテナの電源や付加機能類のうち、任意にON/OFFができるものは、OFFにすること。 カ.電源に一次電池又は蓄電池(以下「バッテリパック」という。)を使用する機器について、①から⑥までに掲げる消費電力の測定を行う場合には、次の(ⅰ)から(ⅲ)までに定める事項のとおりにすること。 (ⅰ)機器とともに出荷する外部電源を使用して交流電源に接続すること。 (ⅱ)着脱可能なバッテリパックを搭載する機器はバッテリパックを取り外すこと。 (ⅲ)バッテリパックを搭載しないと動作が不可能な機器及び着脱不可能なバッテリパックを内蔵している機器は、バッテリパックからの電力供給を無効にすること(満充電状態で外部電源から給電することでバッテリパックからの電力供給を無効にする、メニュー画面での設定により無効にする等その手段は問わない)。 キ.①から⑥までに掲げる消費電力の測定の際は、測定信号切替時及び待機時も含めて受信機の各部温度や処理状態等が安定した上で測定した値を採用すること。 ⑨ 入力信号 消費電力の測定において用いる動画映像信号は、IEC 62087-2:2015 video content_BDのブロードキャストコンテンツ(4.1.3)のうち垂直周波数60Hz用の信号とし、信号の入力は、次のアからウまでに定める事項のとおりにすること。 ア.HDMI端子の入力による測定 HDMI端子より入力する信号のフォーマットは、1080i 59.94Hzとすること。また、色方式と色深度はYCbCr 24bitとすること。 イ.地上放送波帯信号の入力による測定 地上放送波帯信号は、日本の地上基幹放送局(電波法施行規則第4条第1項第2号の2に規定する地上基幹放送局のうち移動受信用地上基幹放送(放送法(昭和25年法律第132号)第2条第14号に規定する移動受信用地上基幹放送をいう。)を行う基幹放送局を除く。)によるデジタル放送と同方式の信号を用いること。また、入力信号レベルは、-49dB(mW)とすること。 ウ.衛星放送波帯信号の入力による測定 衛星放送波帯信号は、日本の衛星基幹放送局(電波法施行規則第4条第1項第20号の11に規定する衛星基幹放送局をいう。)によるデジタル放送と同方式で第一中間周波数帯(BS右旋用中間周波数の場合、1032.23~1488.69MHz)に変換された信号を用いること。また、入力信号レベルは、-45dB(mW)とすること。 |
<参考文献>
1)1999年通商産業省告示第192号(制定)「テレビジョン受信機のエネルギー消費性能の向上に関するエネルギー消費機器等製造事業者等の判断の基準等」、最終改定2021年経済産業省告示第111号
2)テレビジョン受信機判断基準ワーキンググループ取りまとめ(概要)
https://www.meti.go.jp/press/2020/02/20210216001/20210216001-1.pdf