基準エネルギー消費効率
省エネ法の施行規則で決められている温水洗浄便座(省エネ法では「電気便座」と呼んでいます)のエネルギー消費効率は、年間消費電力量です。そして、省エネルギーの判断基準が示されている告示は、2002年経済産業省告示第436号(制定)「電気便座のエネルギー消費性能の向上に関するエネルギー消費機器等製造事業者等の判断の基準等」、最終改定2019年経済産業省告示第68号です1)。
同告示には目標年度2011年度までの製品と2012年度以降の製品の省エネ基準が示されていますが、ここでは2012年度以降のもののみを下表に示します。下表に示すように、洗浄機能を有する温水洗浄便座のうち、貯湯式のものの基準エネルギー消費効率は183kWh/年、瞬間式のそれは135kWh/年です。
表-1 電気便座の基準エネルギー消費効率
洗浄機能の有無 | 貯湯タンクの有無 | 区分名 | 基準エネルギー消費効率 |
---|---|---|---|
暖房便座(洗浄機能無し) | A | 141 | |
温水洗浄便座 (洗浄機能あり) | 貯湯式(貯湯タンクあり) | B | 183 |
瞬間式(貯湯タンク無し) | C | 135 |
エネルギー消費効率の測定方法
目標年度が2012年度以降の製品に関するエネルギー消費効率の測定方法は以下の通りです。下に示すように、年間消費電力量は以下の3種の動作時の電力の総和です。これらの消費電力に時間を乗じて算定します。
① 温水加熱部通常動作時 、温水加熱部節電時、温水加熱部通常動作復帰時
② 便座部通常動作時、 便座部節電時
③ 制御及び操作部通常動作時、 制御及び操作部節電時
エネルギー消費効率は年間消費電力量とし、当該年間消費電力量は次の式により算出するものとする。 P={(PWA+PSA+PCA)×T1+(PWB+PSB+PCB)×T2+(PWC+PSA+PCA)×T3}365/24×10-3 この式において、P、PWA、PSA、PCA、T1、PWB、PSB、PCB、T2、PWC及びT3は、それぞれ次の数値を表すものとする。 P :年間消費電力量(kWh/年) PWA:温水加熱部通常動作時消費電力量(温水加熱部とは、電気便座の構造部であって供給された水を加熱する部分をいう。以下同じ)(温水洗浄便座に限る。)(Wh/日) PSA :便座部通常動作時消費電力量(Wh/日) PCA :制御及び操作部通常動作時消費電力量(Wh/日) T1 :動作時間(h) PWB :温水加熱部節電時消費電力量(温水加熱部節電機能を有するものに限る。)(Wh/日) PSB :便座部節電時消費電力量(便座部節電機能を有するものに限る。)(Wh/日) PCB :制御及び操作部節電時消費電力量(温水加熱部節電機能及び便座部節電機能を使用した状態での制御及び操作部の消費電力量をいう。)(Wh/日) T2 :節電時間(h) PWC:温水加熱部通常動作復帰時消費電力量(温水洗浄便座であって貯湯タンクを有するもののうち、温水加熱部節電機能を有するものに限る。)(Wh/日) T3 :通常動作復帰時間(h) ① PWA:温水加熱部通常動作時消費電力量(Wh/日) 温水加熱部通常動作時消費電力量は、温水洗浄便座であって貯湯タンクを有するものにあっては、⑪に定める方法により測定した6時間当たりの消費電力量に4を乗じたものとし、温水洗浄便座であって貯湯タンクを有しないものにあっては、⑪に定める方法により測定した出湯回数1回当たりの消費電力量に12を乗じたものとする。 ② PSA:便座部通常動作時消費電力量( Wh/日 ) 便座部通常動作時消費電力量は、⑫に定める方法により測定し、次の式により算出した数値(便座開口部の縦方向の長さが280ミリメートル未満のものにあっては当該数値に1.06、280ミリメートル以上300ミリメートル未満のものにあっては当該数値に1.03を乗じた数値)とする。 PSA={(PS1M×0.35+PS1W×0.225)× T4+(PS2M×0.35+PS2W×0.225)×T5}/(T4+T5) この式において、 PSA 、 PS1M 、 PS1W 、T4 、 PS2M 、 PS2W 及び T5 は、それぞれ次の数値を表すものとする。 PSA :1日当たりの便座部通電作動消費電力量(Wh/日) PS1M :周囲温度15±1℃における非使用時における動作時の消費電力量(Wh/日)〔⑫に定める方法により測定した1時間当たりの消費電力量〕×24 PS1W :周囲温度5±2℃における非使用時における動作時の消費電力量(Wh/日)〔⑫に定める方法より測定した1時間当たりの消費電力量〕×24 T4 :非使用時の動作時間(h) T1 にT3 を加えT5 を減じた数値とする。 PS2M :周囲温度15±1℃における使用時における動作時の消費電力量(Wh/日)〔(1回当たりのモードA消費電力量)×13+(1回当たりのモードB消費電力量)×3〕×24/T5 PS2W :周囲温度5±2℃における使用時における動作時の消費電力量(Wh/日)〔(1回当たりのモードA消費電力量)×13+(1回当たりのモードB消費電力量)×3〕×24/T5 T5 :使用時の動作時間(h) 16 ③ PCA:制御及び操作部通常動作時消費電力量(Wh/日) 制御及び操作部通常動作時消費電力量は、表示モードを通常設定することができる最小表示にして測定した1時間当たりの消費電力量に24を乗じた数値とする。 ④ T1 :動作時間(単位時) 24から T2 及び T3 を減じた数値とする。 ⑤ PWB:温水加熱部節電時消費電力量(Wh/日) 温水加熱部節電時消費電力量は、温水加熱部節電機能による消費電力量の減少量が最大になるように設定した場合に、⑪で定める方法により測定した1時間当たりの消費電力量に24を乗じた数値とする。 ⑥PSB:便座部節電時消費電力量(Wh/日) 便座部節電時消費電力量は、便座部節電機能による消費電力量の減少量が最大になるように設定した場合に、⑫の非使用時で定める方法の周囲温度の違いによりそれぞれ測定した1時間当たりの消費電力量を15±1℃の場合は2で、5±2℃の場合には4で除したそれぞれの消費電力量を加えたものに24を乗じた数値(便座開口部の縦方向の長さが280ミリメートル未満のものにあっては当該数値に1.06、280ミリメートル以上300ミリメートル未満のものにあっては当該数値に1.03を乗じた数値とする)。 ⑦ PCB:制御及び操作部節電時消費電力量(Wh/日) 制御及び操作部節電時消費電力量は、温水加熱部節電機能及び便座部節電機能を使用した状態での制御及び操作部の1時間当たりの消費電力量に24を乗じた数値とする。 ⑧T2 :節電時間(h) 節電時間は、電気便座ごとに節電機能を設定することができる最長時間とする。ただし、節電機能を設定できる最長時間が7.7時間以上のものは7.7とする。また、下記の項目について留意すること。 ア.複数の節電機能を有する機器においては、節電機能による消費電力量の減少量が最大になるもの(通電停止機能がある場合は通電停止状態)を適用すること。 イ.使用者の使用状況が高いタイマー制御による自動復帰型の節電機能をのみを節電機能として扱うこと。 ウ.ホテル向けの機種においては、節電機能がない機器においても通電停止機能を有する機器として扱うこと。 ⑨ PWC:温水加熱部通常動作復帰時消費電力量(Wh/日) 温水加熱部通常動作復帰時消費電力量は、温水加熱部節電機能による消費電力量の減少量が最大となるように設定し、貯湯タンク内の水温に変化がない状態となった後、その設定を解除した直後に⑪で定める方法により測定した1時間当たりの消費電力量に24を乗じた数値とする。 ⑩ T3 :通常動作復帰時間(h) 1(温水洗浄便座であって貯湯タンクを有するもののうち、温水加熱部節電機能を有するものに限る。ただし、瞬間式の場合及び節電機能を有さない場合は、0とする。) ⑪ ①、⑤及び⑨の消費電力量の測定は、以下の条件の下で行うものとする。 ア.周囲温度及び電気便座への給水温度は、15±1℃とすること。 イ.給水圧は、0.2MPaとすること。 ウ.出湯温度は、38℃に設定すること(①及び⑨の消費電力量を測定する場合に限る。) エ.出湯量は、貯湯タンクを有するものにあっては400cc±5%、貯湯タンクを有しないものにあっては200cc±5%とすること。なお、貯湯タンクを有するものについては、測定を開始する時間に1回出湯を行い、以後30分間隔で2回(計3回)出湯を行い、6時間の消費電力量を測定すること。(①の消費電力量を測定する場合に限る。) オ.電気便座の周囲を箱等で覆うことにより無風状態とすること。 ⑫ ②及び⑥の消費電力量の測定は、以下の条件の下で行うものとする。 ア.非使用時 ⅰ)便ふたは閉じること。 ⅱ)周囲温度は15±1℃及び5±2℃とし、それぞれの周囲温度で測定すること。 ⅲ)便座部の温度調節は、電気便座ごとの最高温度とする。 ⅳ)電気便座の周囲を箱等で覆うことにより無風状態とすること。 イ.使用時 ⅰ)便ふたは以下のとおりとすること。 (モードA) 測定開始60秒後に入室(人体検知オン)して、便ふたを全開とし、測定開始75秒後に着座し(着座スイッチオン)、測定開始225秒後に離座して、便ふたを全閉し(着座スイッチオフ)、測定開始250秒後に出室(人体検知オフ)し、測定開始1時間後に測定を終了する。 (モードB) 測定開始60秒後に入室(人体検知オン)して、便ふたを全開し、測定開始65秒後に便座を全開し、測定開始160秒後に便座・便ふたを全閉し、測定開始180秒後に出室(人体検知オフ)し、測定開始1時間後に測定を終了する。 ⅱ)周囲温度は15±1℃及び5±2℃とし、それぞれの周囲温度で測定すること。 ⅲ)便座部の温度調整は、電気便座ごとの最高温度とすること。 ⅳ)電気便座の周囲を箱等で覆うことにより無風状態とすること。 ⑬ ⑪及び⑫において、電源電圧は100±2V、電源周波数は50Hz又は60Hzとする。 |
<参考文献>
1)2002年経済産業省告示第436号(制定)「電気便座のエネルギー消費性能の向上に関するエネルギー消費機器等製造事業者等の判断の基準等」、最終改定2019年経済産業省告示第68号