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【家庭の省エネ対策】一日中稼動している冷蔵庫の節電対策 6選

 家庭の節電対策としてこれまでテレビ、エアコンを取り上げてきましたが、今回は冷蔵庫を取り上げます。冷蔵庫は1日中というより、1年中稼働している家電機器です。そのため、消費電力は冬季においても2番目に多いという測定結果があります1)。定格の消費電力は大型冷蔵庫でも300W程度とそれほど大きくないのですが、稼働時間が長いため多くの電力を消費します。

 冷蔵庫は省エネ法の対象となっており、法律の指定対象となってからエネルギー消費効率は大きく改善してきました。10年前と比較すると平均で40~47%の省エネ(2009年と2019年の比較)になったとされています2)。ただし、コロナ感染症の影響で在宅勤務による食事機会が増えたことにより冷蔵庫の需要が大型化してきていることから、気が付かないうちに多くの電力を消費している可能性があります。

 冷蔵庫の省エネ対策は、冷蔵庫を使用する際の毎日のちょっとした気遣いが重要です。多くの製品は温度設定が可能であり、省エネ機能が搭載された製品もありますので、それらを活用した節電を心がけましょう。また、省エネ性能も年々向上していますので、買い換えも有効です。今回の節電対策は以下の6項目です。

 ① ドアの開閉回数と開閉時間を減らす
 ② 庫内での食材等の詰め込み方の工夫
 ③ 設定温度、省エネ設定の利用
 ④ 効率を低下させない設置場所
 ⑤ 新機種に買い換える
 ➅ 食材の管理を見直す

 最後の「食材の管理を見直す」については、冷蔵庫の使用目的に立ち返り、冷蔵庫を食材の物置にしないよう、適切な管理を行うことにより省エネを目指そうとするものです。食材を大量に買い込んで使う前に廃棄してしまうことは、無駄な食費と無駄な電力を消費します。

 食材の管理ができないと、冷蔵庫に詰め込み過ぎて冷却が非効率になることや、冷蔵庫内の食材を探すのに時間がかかり、ドアを開けている時間が増えて電気を過剰に消費することになります。そのため、冷蔵庫の食材をどのように管理するかを考え直すことも必要と考え、整理してみました。

(1)ドアの開閉回数と開閉時間を減らす

 資源エネルギー庁のサイトでは、冷蔵庫のドアの開閉回数と開閉時間の違いによる消費電力量の違いを公表しています。冷蔵庫を12分ごとに25回、冷凍庫を40分ごとに8回の開閉を行い、開放時間はいずれも10秒とした場合(旧JIS開閉試験)とその2倍の回数を行った場合の比較では、年間で10.40kWhの省エネ、CO2削減量5.1kg、約320円の節約となるとされています3)

 また、冷蔵庫のドアを開けている時間が20秒間の場合と10秒間の場合の比較では、年間で6.10kWhの省エネ、CO2削減量3.0kg、約190円の節約とされています3)

※電気の単価は31円/kWh、CO2排出係数は0.488kg-CO2/kWhと仮定しています。

 図-1に本サイトで消費電力量の実測を行った結果を示しています。冷蔵庫は電動で開閉するため、その際に電気を使います。また、開閉時に庫内の温度が上がるため、その温度を改善するための電力が消費されることになります。そのため、なるべく開閉回数と開閉時間を少なくすることが省エネに繋がります。

注)東芝 GR-S470-GZ(465L、定格消費電力86W、年間消費電力量235kWh/年、2020年製)を対象に測定
図-1 冷蔵庫の消費電力測定結果の一例

 冷蔵庫の省エネ性能などの詳細は本サイトの以下を参照ください。

 「冷蔵庫(1)-省エネ性能」
 「冷蔵庫(2)-インバータの省エネ効果」

(2)庫内での食材等の詰め込み方の工夫

 食材等を庫内に詰め込む方法にも工夫が必要です。まず、冷蔵室は食品を詰め込み過ぎないようにすることが必要です。食品を詰め込みすぎると、冷気の流れが妨げられ庫内が均一に冷えなくなり、冷却力も低下し、余分に電気を消費してしまいます4)。日本電気工業会のサイトから詰め込みイメージを示したものを図-2に示します。一方、冷凍室はなるべく多く詰め込む方が電力消費が抑えられるようです。

出所)日本電気工業会:製品分野別情報、家電製品・機器情報、電気冷蔵庫、省エネのポイント/上手な使い方
図-2 冷蔵庫の適切な詰め込みイメージ

 また、調理したての熱いものをそのまま冷蔵庫に入れると庫内温度が上昇し、周りの食品温度も上げてしまうため、暑いものは冷ましてから入れると省エネになります4)

(3)設定温度、省エネ機能の利用

 冷蔵庫の製品の多くに、設定温度を変更する機能があります。上記の東芝VEGETA GR-S470-GZは温度設定を変える機能が付いています。冷蔵温度と冷凍温度を「強」、「中」、「弱」の3段階に調節ができます。温度設定の「中」は、庫内温度が-18℃~-20℃であり、「強」は「中」より2~3℃低め、「弱」は「中」より2~3℃高めに設定されています5)

 また「自動節電」機能もあり、これを選択すると約10%の節電が行われます。また、冷蔵室、野菜室、製氷室、冷凍室の全てのドアの開閉が24時間以上ない場合は、自動的に約20%の節電に切り替わる機能もあります。長期間外出するときにはこの節電機能が有効です5)

(4) 効率を低下させない設置場所

 冷蔵庫の原理は図-3の通り蒸気圧縮冷凍サイクルですので、冷媒の庫外での熱交換を行いやすくする必要があります。そのため、多くの製品のカタログには冷蔵庫と壁や天井などとのすき間を開けるように推奨されています。

図-3 冷蔵庫の冷却の原理

 以前は熱交換器の放熱部が背面に露出してついており、そのため後ろの壁との距離を開けるように記載されていました。その後、熱交換器は庫内に取り込まれ、放熱部がサイドに設置されるなどしたため、背面の壁の距離に配慮する必要はなくなりました。

 先述の東芝VEGETA GR-S470-GZでは、左右に5mm以上、上部に50mm以上のすき間を開けるよう記載されています5)。日本電機工業会のサイトでは、左右、上部の隙間をあけて設置した場合、隙間をあけずに設置した場合と比べ、約5%の省エネになった例が記載されています。

 また、熱交換器の放熱部では高温の冷媒を冷やすことになるので、温度が低い場所に設置する方が有利です。そのため、夏場の日の当たる場所などを避けることが省エネにつながります。冬季にはこのような問題はなくなりますが、冷蔵庫は1年中同じ場所に置いておくので、夏場の条件に配慮しておくことが必要です。

(5)新機種に買い換える

(a)製品の省エネの動向

 前述したように、10年前の製品に比べて省エネ性能は4割以上向上しています。図-4にあるメーカーの同容量の冷蔵庫の年間消費電力量(製品のカタログ値)について、2000年から2020年までの推移を示しています(日立製冷蔵庫、定格容積450~475Lの消費電力量を比較)。10年前とは約4割、15年前とは約6割の節電になっています。

出所)日立製冷蔵庫(450~475L)の年間消費電力量を環境省「いっきゅうさん」から把握
図-4 冷蔵庫の年間消費電力量の推移 

 このことから、長年使っている冷蔵庫の買い換えも検討する必要があります。買い換えの際には、これまでテレビやエアコンでも説明してきたように、省エネ法の省エネ基準達成率を参考にすると良いでしょう。

(b)省エネ基準

 経済産業省の告示に示された冷蔵庫の省エネ基準の指標値(エネルギー消費効率)は年間消費電力量です。日本産業規格JISC9801-3(2015)に規定された測定方法によって年間消費電力量を測定した値が製品のカタログ等に示されています。

 家庭用の冷蔵庫の省エネ基準は冷却方式と定格容積に基づいた区分ごとに設定されています6)。冷蔵庫の区分別の省エネ基準(基準エネルギー消費効率)を図-5と表-1に示します。省エネ基準は表-1に示す通り、冷蔵庫の省エネ区分別に調整内容積(各貯蔵室の定格内容積に調整内容積係数を乗じた数値の総和)による算定式で設定されています。

 冷気自然対流方式(区分a)の省エネ基準は青線に示す通りで、調整内容積が300L未満では非常に小さな値ですが、300Lを超えると大きくなっていきます。この区分の製品は、調整内容積が300L未満のみが販売されています。

注)省エネ基準値は、販売されている製品の調整内容積の範囲で表示
図-5 冷蔵庫の区分別の省エネ基準

表-1 冷蔵庫の省エネ基準

区分名冷蔵庫の種類 冷却方式定格容積(L)基準エネルギー消費効率の算定式
 a冷蔵庫及び冷凍冷蔵庫冷気自然対流方式 - E=0.735・V+122
 b冷気強制循環方式 375L以下 E=0.199・V+265
 c 375L超 E=0.281・V+112
備考:E及びVは、次の数値を表すものとする。
 E:基準エネルギー消費効率(kWh/年)
 V:調整内容積(各貯蔵室の定格内容積に調整内容積係数を乗じた数値の総和であって、次に掲げる算定式により算出し、小数点以下を四捨五入した数値)(L)
 V=∑Kci×Vi (i=1~n)
 Kci:調整内容積係数(次の表の左欄に掲げる貯蔵室の種類ごとに右欄に掲げる数値)
 Vi:定格内容積(次の表の左欄に掲げる貯蔵室の種類ごとの数値)(L)
 n:冷蔵庫及び冷凍冷蔵庫の貯蔵室数
<貯蔵室の種類> <調整内容積係数 Kci
  パントリー      0.38
  セラー        0.62
  冷 蔵        1
  チラー        1.1
  ゼロスター     1.19
  ワンスター     1.48
  ツースター     1.76
  スリースター又はフォースター 2.05
出所)1999年通商産業省告示第704号(制定)「電気冷蔵庫のエネルギー消費性能の向上に関するエネルギー消費機器等製造事業者等の判断の基準等」、最終改定2019年経済産業省告示第46号

 冷気強制循環方式のうち、定格容積が375L以下の製品の省エネ基準は250kWh/年から400 kWh/年までの範囲であり、冷気強制循環方式の定格容積が375L超の製品は容積が大きいにもかかわらず、小さな省エネ基準となっています。これは、定格容積が375Lを超えるとインバータ方式を採用する製品が多いため、省エネになるためです。

 この省エネ基準に対して各製品を比較するには省エネ基準達成率を見ると良いでしょう。先に示した東芝VEGETA GR-S470-GZを例に省エネ基準達成率を算定すると以下の通りです。

 本製品は冷気強制循環方式で定格容積は465Lですが調整内容積は表-2の計算の通り543Lとなります。調整内容積係数は表-1の備考を確認ください。

表-2 調整内容積の計算(GR-S470-GZ)

定格内容積調整内容積係数調整内容積
冷蔵室2391239
野菜室1030.6264
製氷室161.7628
冷凍室(ツースター)241.7642
冷凍室(フォースター)832.05170
合計465543
出所)東芝 VEGETA GR-S470-GZの取扱い説明書

 この調整内容積を区分cの省エネ基準算定式に入れて計算すると、省エネ基準の値は以下の通り264.6kWh/年となります。

 省エネ基準=0.281・543+112=264.6 kWh/年

 また、本製品の年間消費電力量は235kWh/年ですので、省エネ基準達成率は以下の通り112%です。

 省エネ基準達成率=264.6/235=112% (切捨て処理)

(c)統一省エネラベル

 小売事業者は法律によって製品の省エネ性能を表示することになっています7)。表示方法は経済産業省告示により決められており、JIS C9901に示された省エネラベル(内容とデザイン)が決められています(図-6参照)。

 大きなラベルには、多段階評価点、省エネ基準達成率、年間消費電力量、目安の電気料金が表示されていますので、それを比較して製品を選択することが有効です。多段階評価点とは最高点を5.0、最低点を1.0とした41段階の評価方法です。小売事業者での冷蔵庫の多段階評価点を算定する方法は以下のとおりです7)

 多段階評価点=2+2.5/61・(多段階評価比率-100)

 ここで、多段階評価比率を算定する方法は以下の通りです。

 多段階評価比率=(0.199・調整内容積+265)/省エネ基準・100
        =(0.199・543+265)/235・100=158% (切捨て処理)

 この結果より、多段階評価点を計算すると、以下の通りです。

 多段階評価点=2+2.5/61・(158-100)=4.3 (切捨て処理)

 この結果より、多段階評価点は4.3となり省エネラベルは図-6の通りとなります。

図-6 東芝VEGETA GR-S470-GZの省エネラベル

(d)省エネ型機種の賢い選び方

 ここで、冷蔵庫の機種選びにおける留意点を示しておきます。これまでの説明で、省エネ基準は区分ごとに算定されていました。図-5に示したように、区分bと区分cの製品の境界部分(定格容積375L)では、省エネ基準が大きく異なっていました。

 そのため、区分が異なると省エネ基準達成率が異なってくることが分かります。具体的な製品の比較によってその相違を示します。表-3に日立と三菱電機の区分bと区分cの製品の性能を比較しています。

表-3 省エネ区分の異なる製品の省エネ性能比較

メーカー日立三菱電機
型式R-V38RVR-S40S-XNMR-CG37EMR-N40H
区分
定格容積(L)375401365403
調整内容積(L)425479422468
年間消費電力量(kWh/年)339273335334
省エネ基準達成率(%)1039010473
多段階評価点2.13.22.12.2
出所)資源エネルギー庁、省エネ型製品情報サイト、電気冷蔵庫、閲覧日2023年1月4日

 まず、日立製の区分bの製品は定格容積375Lであり、区分cの製品は401Lです。前者の省エネ基準達成率は103%であり後者のそれは90%です。しかし、年間消費電力量を見ると、それぞれ339kWh/年、273kWh/年と後者の方が小さな値となっています。定格容積が大きいにもかかわらず消費電力量が小さく、省エネのはずですが省エネ基準達成率は小さいのです。

 一方、三菱電機の製品も同様のことが分かります。区分bの定格容積は365L、区分cのそれは403Lであり、省エネ基準達成率はそれぞれ104%と73%です。しかし、年間消費電力量はそれぞれ335kWh/年と334kWh/年とほとんど変わりません。これも省エネ基準達成率と消費電力量とで大きな乖離が見られる事例です。

 これらの現象は、表-2に示したように基準となる省エネ基準値(算定式)が異なるためです。この結果から、定格容積が375Lの近傍では省エネ基準達成率よりも多段階評価点や年間消費電力量を見て省エネの比較を行った方が良いということが分かります。

 そして、図-1の省エネ基準の傾向を見ると、区分cの方が省エネ基準値が厳しいため、区分cを選択したほうが省エネになるということが分かります。そのため、定格容積が400Lか375Lかで迷っている場合は、400Lを選択したほうが省エネ的には正解ということになります。

(e)メーカー別の省エネ性能

 資源エネルギー庁の省エネ型製品情報サイトのデータから、現在販売されている製品において、多段階評価点がどのような傾向になっているかについて、定格容積が375L超の製品(省エネ区分c)で調べてみました8)

 冷蔵庫の機能は様々で、いろいろな付加機能がついていると思われますが、ここではそれらを考慮せず、多段階評価点のみに着目した製品数をメーカー別に集計しました。メーカー別の多段階評価点別の製品数を見ると表-4、図-7の通りです。ここでは、20製品以上提供しているメーカーについて表示しています。

 表-4、図-7には、多段階評価点別の製品数に加えて、評価点が4を超える製品の割合についても示しており(図-7の折れ線参照)、この結果からメーカー別の特徴を見ることができます。

 パナソニックは多くの製品を提供していますが、ほとんどが多段階評価点4.0以下の製品です。一方、シャープは製品数は少ないですが、多段階評価点が4.0を超える製品を1/3以上提供しています。また、東芝は多段階評価点が4.0を超える製品を約3割、4.5を超える製品を9種類提供しています。

表-4 メーカー別、多段階評価点別の製品数

多段階
評価点
AQUAシャープパナソ
ニック
三菱電機東芝日立
2以下7721560
2<X≦2.50376480
2.5<X≦370746166
3<X≦3.5541471214541
3.5<X≦46271651317328
4<X≦4.50266276610
4.5<X≦5030092
合計748034419626387
4超の割合0.0%36.3%1.7%13.8%28.5%13.8%
出所)経済産業省:資源エネルギー庁、省エネポータルサイト、省エネ型製品情報サイト、冷蔵庫、閲覧日2023年1月4日
注)資源エネルギー庁の省エネ型製品情報サイトから定格容積375L以上(区分c)の製品を集計
図-7 メーカー別、多段階評価点別の製品数 

 経済産業省の省エネ製品情報サイトでは、個々の製品の省エネに関する情報を見ることができますので以下よりご確認ください。

 資源エネルギー庁:省エネ型製品情報サイト (seihinjyoho.go.jp)

(6)食材の管理を見直す

 冷蔵庫は食材や飲料、調味料等の腐敗、劣化を防ぐ便利な家電機器です。しかし、冷蔵(または冷凍)していても食材等の賞味期限には限界があります。そのため、食材をあまり多く買いだめしておくと、賞味期限が切れて廃棄してしまうことになります。

 食品の廃棄(食品ロス)は近年大きな社会問題化しています。日本においては、家庭や流通の段階で522万トンの食品が廃棄されています9)。これは、国民1人1日当たり110gに相当し、おにぎり1個程度の食品を廃棄していることになります。

 日本だけでなく世界中同様のことが生じており、国連も食品ロスの削減に取り組んでいます。国連は2015年9月に国連総会で採択した「持続可能な開発目標」(SDGs)の12番目の目標の1つとして、2030年までに小売・消費レベルにおける食品廃棄物を半減させるという目標を設定しました10)

 日本はこれを受けて第4次循環型社会推進基本計画(2018年6月閣議決定)において、家庭からの食品廃棄物を2030年までに2000年度比半減させることが設定され、さらに2019年には食品ロスの削減の推進に関する法律が施行されました。

 食品ロスの削減と冷蔵庫の節電とはあまり関係がないように思われるかもしれません。しかし、冷蔵庫の能力を過信すると食品ロスにつながり、無駄に食品を冷却することによる電力の過剰消費が行われることになるのです。そして、廃棄された食品のコストも無駄になっており、さらにその食品は世界のどこかで必要としている人がいるのです。

 このサイトの趣旨は、節約や倹約を中心とした生活を推奨するというものではなく、無駄な製品(食品も含め)の購入や余剰なサービスの使用を控えるというものです。無駄に廃棄される食品や過度に使用されるエネルギーをなるべく低減させることは、本サイトの中心テーマでもあります。大量に買い込んだ食材を冷蔵庫に保管していつの間にか忘れてしまい、食卓に上る前に捨ててしまうという悪循環を改善することが重要です。

 また、冷蔵庫に詰め込み過ぎると冷却が非効率になるということに加えて、詰め込んだ食材を見つけるのに時間がかかると消費電力量も多くなります。そのため、冷蔵庫内の食材の量とその賞味期限を認識し、廃棄しないようにする食材の管理方法が重要となります。その管理方法を参考文献から抜粋すると以下の通りです11)12)

●食材は食べる分だけ買う(買いすぎない)
●冷蔵庫の中がすぐわかるように収納する
●取り出しやすいように食品の配置を工夫する
●冷凍庫を活用する
●アプリを使用した食材管理

 まず、最も重要なことは食材を食べきれずに廃棄しないように、買いすぎないことです。小家族なのにまとめ買いで安くなる食品を購入すると、結局無駄な買い物をすることになります。小売店側でもばら売り、量り売りなどに対応するところも出てきており、必要な分だけ購入することが基本です。

 次に、ドアを開けたときに見渡しやすい収納法や食品の配置を工夫することも有効です。最近では冷蔵庫内のカメラにより中身を把握できるものもあるようです。食品の配置については上部は取り出しにくいので、長期保存が可能な味噌や粉物、一度出したら元に戻さないカップのデザートなどが良く、直ぐに食べる必要のあるものや食べ残しの総菜などは中段の目立つ場所に配置することが重要です。

 冷凍庫は食材の保存期間を延ばすことができますが、1~2か月程度の保存が限度です。肉や魚を冷凍保存するときはジッパーの袋に入れて空気が入らないようにすることや、積まないで立てて保管するのが良いとのことです。立てて使う順番を決めることで、食べ忘れを防ぐことができます。そのほか、食品ごとに冷蔵庫での詳細な保存方法が参考文献12に記載されていますので参照ください。

 アプリを使用した食材管理については、少し具体的に記載しておきます。参考文献13に冷蔵庫管理アプリを使用した体験記が載っています13)。そのうちの賞味期限管理アプリである「リミッター」はスマートフォンでの管理が可能で比較的入力作業が容易にできるソフトのようです(基本的に無料のアプリです)。

 「リミッター」は、食材管理、レシピ検索、買い物リストの作成ができます。食材を購入してきたら冷蔵庫に入れる前にデータを入力します。登録はバーコードから読み込むことができますが、直接入力も可能です。

 食材の入力欄には個数を入力する欄もあるので、トマト2個、みかん3個などと入力ができます。入力すると自動的に購入日が記録され、賞味期限の短い順にソートされて表示されます(写真参照)。

 データ入力後は賞味期限が近づくと通知が届くようになり、冷蔵庫にある食材で作成できるレシピの検索もできます。このように、基本的に冷蔵庫の中身がデジタル化できるとともに、それを賞味期限内に使い切る方法が提示されるという便利な機能になっています。

 どのようなデジタル化も最初の入力作業とデータの更新が大変ですが、バーコード入力や情報の共有化(料理を分担して行う人に便利)も可能なので、このようなソフトを利用して食材管理を手軽に行っていくことも検討してみてはどうでしょうか。 

<参考文献>
1) 資源エネルギー庁:省エネポータルサイト、家庭でできる省エネ、家電製品別の電力消費割合を知ろう!
2) 資源エネルギー庁:省エネポータルサイト、家庭向け省エネ関連情報、機器の買換で省エネ節約
3) 資源エネルギー庁:省エネポータルサイト、家庭向け省エネ関連情報、無理のない省エネ節約、冷蔵庫
4) 日本電気工業会:製品分野別情報、家電製品・機器情報、電気冷蔵庫、省エネのポイント/上手な使い方
5) 東芝ライフスタイル(株):東芝GR-V470GZ、取扱説明書
6) 1999年通商産業省告示第704号(制定)、電気冷蔵庫のエネルギー消費性能の向上に関するエネルギー消費機器等製造事業者等の判断の基準等、最終改定2019年経済産業省告示第46号
7) 2006年経済産業省告示第258号(制定)「エネルギー消費機器の小売の事業を行う者その他その事業活動を通じて一般消費者が行うエネルギーの使用の合理化につき協力を行うことができる事業者が取り組むべき措置」、最終改定2021年経済産業省告示第194号
8) 経済産業省:資源エネルギー庁、省エネポータルサイト、省エネ型製品情報サイト、https://seihinjyoho.go.jp/、閲覧日2023年1月4日
9)環境省:報道発表資料、我が国の食品ロスの発生量推計値、2022年6月22日
10)杉田敬一:食品ロス半減に向けた日本の政策と食品ロス削減推進法、廃棄物資源循環学会誌、Vol.31、No.4、2020
11)廣澤克美:冷蔵庫収納法、循環とくらし(廃棄物資源循環学会編集)、No.10、2021
12)鎌倉市環境部:もうムダにしない!食材の便利帳(保存版)、https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/gomi/documents/syokuhinlosspanf_1.pdf
13)瀬田康子:スマホアプリ活用で家庭の食品ロスを減らせるか?-冷蔵庫管理アプリ体験記、循環とくらし(廃棄物資源循環学会編集)、No.10、2021