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家庭の省エネ

家庭の省エネ対策(はじめに)

自宅の消費電力量を調べる

 皆さん、自分の世帯でどのくらい電力を使っているか知っていますか。電力会社からの電気代が上がってくるときに料金を見るくらいでしょうか。先月より増えたとか、去年の夏より料金が高いとかあいまいに把握するだけで、詳しく消費電力量を把握している方は少ないと思います。

 現在、都市部の多くの世帯はスマートメータという遠隔監視メータに取り換えられていて、検針員の方が検針するのではなく自動的に月の消費電力量が把握できるようになっています。そして、1月の消費電力量だけでなく毎日、あるいは毎時間の消費電力量を把握することができます。

 一例として小売り電力会社のひとつである東京ガスは、ホームページの顧客サービスサイトである「myTOKYOGAS」において直近の2年間の消費電力量や料金等の情報を提供しています。そして、自分の世帯の情報を入れることで、同種世帯の平均電力量との比較もでき、節電方法の情報も提供してくれます。他の電力会社も同様なサービスを行っているようですので確認してみてください。

 2020年8月のある世帯(X氏宅としておきます)の消費電力量と同種世帯(2人世帯)の平均消費電力量とを比較した結果を下図に示します。8月のほとんどの日が同種世帯平均を上回っており、月消費電力量が3割も多いことが分かります(同種世帯平均478.1kWh、X氏宅622.5kWh)。X氏宅は都心から離れた郊外の集合住宅でそれほど大きな家に住んでいるわけではなく、裕福な暮らしをしていたつもりはないのですが、同種世帯との差は大変大きなものでした。

 2050年までのカーボン・ニュートラルに向けて地球温暖化防止に貢献しなければならないという時期に、他の世帯と比較して大きな消費電力量となっていることは問題です。X氏にとってこのように大きな消費電力量となっている理由を明らかにすることが重要な課題となりました。そこで、このシリーズでは家庭での電力消費の実態を把握してその傾向を分析し、自分自身の生活を見直すという趣旨で節電対策などの情報を整理していこうと思います。皆さんの参考になれば幸いです。

家電製品別の消費電力量を調べる

 前述の電力会社からの消費電力に関する情報は世帯全体での消費電力量であり、個別の家電製品の消費電力量は分かりません。個別の家電製品毎の消費電力量を測定するにはワットチェッカー(電力モニター)を使う必要があります。今回のシリーズでは家電製品毎の消費電力量を測定するために以下の2つのワットチェッカーを使用しました(下表参照)。

 まず、リーベックス(株)のET30Dは液晶表示画面に電力量を表示することができます。またボタン操作によって測定モードを変えて積算使用時間、積算電力量、積算CO2排出量も表示させることができます。測定範囲は5Wから1,500Wであり、やや小電力量の測定に難がありますが、消費電力の情報を直ぐに取得できるというメリットは大きいものがあります。

 一方、ラトックシステム(株)の RS-WATTCH1はディスプレイを持たず、Wifiでスマートフォンにデータを転送して取得する仕組みになっています。瞬時(1秒ごと)電圧、電流、電力量と、1分間の電力量、さらに積算電力量、積算電気料金、積算CO2排出量の取得が可能です。測定範囲は1Wから1,500WまででありET30Dでは測定できない小電力も測定可能です。またCSV形式のデータを取得できるため、データの加工が容易な特徴があります。 ただし、瞬時データは全てのデータが記録されているわけでなく、20分から30分程度のデータが欠損している場合があり、その場合は毎分データから瞬時データを推測することになります。

 詳細は下表または写真下部の製品名をクリックしてメーカーのホームページでご確認ください。なお、どちらの製品も定格電圧AC100Vですので注意してください。100V以上の電圧がかかる家電製品には使えません。

表-1 本サイトの調査で使用したワットチェッカー

メーカー名製品名 測定範囲  特 徴 価格帯
リーベックス(株)ET30D5~1,500W・ディスプレイで電力を把握可能
・電圧、電流、電力量、積算電力量、電気料金、CO2排出量を表示
2,000円程度
ラトックシステム(株)RS-WFWATTCH11~1,500W・Wifiでスマートフォンアプリを用いてデータ取得
・毎秒の電圧、電流、電力量と毎分の電力量、電気料金、CO2排出量を把握可能
・CSVデータで取得できるためデータの加工が容易
7,000円程度