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情報・分析

家電製品の省エネ情報源

省エネ製品の情報源

 省エネの家電製品の情報を提供するために政府はいろいろなサイトを公開しています。その最も重要なのものが資源エネルギー庁の省エネポータルサイトです1)。このサイトでは「家庭向け省エネ」、「事業者向け省エネ」、「政策関連情報」の3分類で省エネに関する情報を提供しています。そのうちの家庭向けの情報として、機器の買い換えのサイトを見ると家電製品それぞれの省エネ情報を見ることができます。

 このサイトでは、家電製品が10年前の製品と比べてどのくらい省エネになっているかなどの一般的な情報が得られます。具体的には冷蔵庫は40~47%、テレビは42%、エアコンは17%等です(2021年7月末の閲覧結果)。そして、より具体的に調べるには、この中の「省エネ型製品情報サイト」をみることで、個別の製品毎の詳細な省エネ情報を取得できます。ここには、「消費者向け省エネ性能カタログ」や「事業者向け製品情報」が載っています。

 個別の家電製品の省エネ情報を比較したい場合は、この「事業者向け製品情報」をクリックしてみてください。これまでに各メーカーが製造・販売した家電製品の下表のような情報がCSV形式のデータで取得できます。これを消費者が見て分析するのは大変ということで事業者向けにしたのでしょう。本サイトの「家庭での節電」シリーズではこれらの情報を分かりやすく集計して整理した結果を示していきたいと思います。

資源エネルギー庁「省エネ型製品情報サイト」のデータ項目

製品等の情報省エネの評価能力、性能
メーカー
製品愛称
型番
代表機種識別フラグ
多段階評価値
(星数または41段階評価値)
基準年度
省エネ基準達成率
エネルギー消費効率(APF等)
年間電気代
能力(定格消費電力)
各種容量
搭載技術(インバータ等)
期間消費電力量

 この資源エネルギー庁のサイトでの製品情報は古いもので2007年以降の製品情報が掲載されています。自分の家の家電製品がそれよりも古いものだった場合に、消費電力等の情報を得られるのが環境省の「COOLCHOICE」サイトにある省エネ製品買換ナビゲーション「しんきゅうさん」です2)。このサイトでは消費者の現在持っている家電製品を買い換えるとどのくらい省エネなのかを比較することができます。扱っているデータについては、1995年頃以降の製品の消費電力も調べられるので古い機種を使っている人は参考になるでしょう。本シリーズでは「しんきゅうさん」の情報も使って家電製品の分析を行っています。

環境省省エネ家電買換ナビゲーション「しんきゅうさん」キャラクター

エネルギー消費機器のトップランナー制度

 1997年に開催された気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)を受け、1998年に省エネ法の大幅な改正が行われました。この改正においては、特に民生部門のエネルギー消費を抑えるため、エネルギーを多く使用する機器等ごとに、省エネルギー性能の向上を促すための目標基準を目標年度までに満たすことをその製造事業者・輸入事業者に対して求める制度(トップランナー制度)が導入されました。トップランナー制度というのは、現在商品化されている製品のうち最もエネルギー消費効率が優れた製品をベースに基準(トップランナー基準)を定めて、それに基づいた製品開発を指導していくという制度です。

 そして、これらの製品に対して消費者が購入する際にエネルギー消費効率に関する情報を取得できるように指定された表示(品名、エネルギー消費効率、製造事業者名等)をすることが法律において規定されています。製品の裏側表面などにエネルギー消費効率等が示されていますので、これらを確認することができます。なお、トップランナー制度については、本サイトの「家庭を中心とした地域レベルの地球温暖化対策」にある「エネルギー消費機器のトップランナー制度と省エネラベリング制度」に詳細に記載していますので参考にしてください。 

省エネラベリング制度

 トップランナー制度での目標エネルギー消費効率をどの程度達成しているかを示すのが省エネラベリング制度です。このラベルの例を下図に示します。省エネラベルは、カタログや製品本体、包装など、見やすいところに表示されます。省エネラベルには下図のように①省エネ性マーク、②省エネ基準達成率、③エネルギー消費効率(機器によって指標が異なっていますが、例えば冷蔵庫の場合は年間消費電力量です)、④目標年度が記載されています。省エネ性マークは省エネ基準達成率が100%を超えている製品にグリーンのマーク、未達成の製品にオレンジ色のマークがつけられます。

 家電販売店などが製品の省エネルギー情報を表示するためのラベルが統一省エネラベルです3)。統一省エネラベルでは、省エネ性能を評価しやすいように星の数の多段階評価が表示されています。2020年10月までは、エアコン、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、液晶テレビ、電気便座、蛍光灯器具(家庭用)に多段階評価が表示されていました。この多段階評価は省エネ基準達成率で評価されます。一例としてエアコンの場合は、5つ星は省エネ基準達成率が121%以上、4つ星はそれが114%以上121%未満などとなっています(下図)。 

 ところで、省エネラベルは2020年11月に改正され、さらに詳細な省エネ性能を記載できるようになりました4)。これまでの省エネ基準達成率のランクによる5段階評価から、2020年の改正では5.0~1.0までの41段階で評価されることになりました。この対象は照明、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、電気便座であり、エアコンやテレビはこれまでのラベルが使われます(下図)。
 また、この省エネ性能の表示には、メーカー名や機種名に加えて、年間の目安電気料金(年間消費電力量にkWh当り27円で算出)も表示されていますので、家計の参考になると思います。小売事業者の省エネラベルについては本サイトの「小売事業者の省エネラベル制度」に詳細に記載していますので参考にしてください。

 <参考文献>

1) 経済産業省資源エネルギー庁、 省エネポータルサイト
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/index.html
2)環境省、COOLCHOICE、省エネ製品買換ナビゲーション、しんきゅうさん
https://ondankataisaku.env.go.jp/shinkyusan/
3)経済産業省資源エネルギー庁、家庭向け省エネ関連情報、統一省エネラベル、https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/replacement/enelabel/
4) 経済産業省資源エネルギー庁 、2020年省エネラベルガイドブックー統一省エネラベルが変わりますー、https://seihinjyoho.go.jp/pdf/newlabel_guidebook_201030.pdf