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空調・住環境

湿度の管理(3)-加湿器の省エネ性能

 湿度の管理に関しての3番目のトピックとして、今回は加湿器を取り上げます。加湿器は冬の湿度低下時における湿度を制御する有効な装置と言えます。加湿器にもいろいろな種類があるため、ここではまずその種類と特徴を整理します。続いて具体の加湿器での電力消費量の測定を行い、省エネの面での利用方法を整理していきます。

 なお、加湿器は省エネ法の対象とはなっていません。それは、比較的エネルギー消費量が少ないためと思われます。しかし、機種によっては1日中稼働させると馬鹿にならない消費電力量となるものもあるので注意が必要です。

加湿器の種類と特徴

 加湿器は下表に示すように、水蒸気(もしくは水滴)を発生する原理別に気化式、超音波式、スチーム式、ハイブリッド式の4種類に分類できます。

 気化式は水を含んだフィルターに風をあてて加湿する方式であり、気体として放出するので水の粒子が小さく、雑菌の放出を抑えられること、ヒーターレスなので消費電力が少ないため電気料金が安く、熱くならないという特徴があります。

表-1 加湿器の種類と特徴

方式 加湿の原理    特  徴 消費電力   イメージ
気化式水を含んだフィルターに風をあてて加湿。フィルターに風を通し気体として放出するので、水の粒子が小さく、雑菌の放出が抑えられる。ヒーターレスなので電気料金が安く、熱くならない。加湿能力を得るためには送風量が多くなりがち。5W
(プレハブ洋室14m2程度)
超音波式水に細かい振動を与え、霧状にして空気中に噴霧し加湿。ヒーターを搭載していないため本体が熱くならず、室温に影響を与えない。本体価格、電気代が安い。
水蒸気ではなく水の粒子として放出するので、タンクやフィルターに雑菌を繁殖させてしまうと、雑菌を空中に放出する可能性がある。
20~25W
スチーム式水をヒーターで加熱した水蒸気で加湿。水を沸騰させるため、菌が繁殖しにくく衛生的。ヒーターの加熱に電力を使うので、電気料金は高くなる。また吹き出し口が熱くなり、蒸気に触れると火傷のリスクもある。300W~500W
(プレハブ洋室14m2程度)
ハイブリッド式水を含んだフィルターに風または温風をあてて加湿(気化式×温風気化式)。温風を当てることにより、スピーディーな加湿が可能。フィルターに風を通し気体として放出するので、水の粒子が小さく、雑菌の放出が抑えられるほか、加湿した風を遠くまで届かせることができる。ヒーターを利用するため、気化式より本体価格、消費電力が大きくなる。100~150W
出所)パナソニック株式会社、公式Webサイト、https://panasonic.jp/life/air/170023.html
   ダイニチ工業株式会社、公式Webサイト、https://www.dainichi-net.co.jp/products/humidifier/

 スチーム式は水をヒーターで加熱した水蒸気で加湿する方式であり、水を沸騰させるため、菌が繁殖しにくく衛生的な反面、ヒーターの加熱に電力を使うので、電気料金は高くなります。

 超音波式は、水に細かい振動を与え、霧状にして空気中に噴霧し加湿する方式で、ヒーターを利用しないため本体が熱くならず、本体価格、電気代も安い特徴があります。半面、水蒸気ではなく水の粒子として放出するので、タンクやフィルターに雑菌を繁殖させてしまうと、雑菌を空中に放出する可能性があります。

 ハイブリッド式は、水を含んだフィルターに風または温風をあてて加湿する方式であり(気化式×温風気化式)、温めた風を当てることにより、スピーディーな加湿が可能となります。フィルターに風を通し気体として放出するので、水の粒子が小さく、雑菌の放出が抑えられるほか、加湿した風を遠くまで届かせることができます。ヒーターを利用するため、気化式より消費電力が大きく、本体価格も高くなります。このほかにヒーターで加熱した水を霧状にして空気中に噴霧して加湿するハイブリッド方式もあります(超音波式×加熱式)。

 省エネルギーの観点から見ると、気化式が最も消費電力が少なく(プレハブ洋室14m2で5W程度)、スチーム式が最も多くなります(同300~500W程度)。これは水蒸気を作り出すのにヒーターを使うかどうかによって異なってくるものです。部屋の広さや加湿のスピード、さらにフィルターなどの維持管理の容易さなどにより、選択する機種が異なってくると思われますので、それらを考慮して選択することが必要です。

 なお、加湿器の加湿能力に適用できる床面積は一般社団法人日本電機工業会規格「JEM1426」2)で定められています。室温20℃、湿度30%時に、1時間あたりで放出できる水分量と適用床面積(目安)は下表のように決められています。一例として、プレハブ住宅14m2(8畳)の部屋には、定格加湿能力300ml/hの能力を持つ加湿器が適用されるということになります。

表-2 定格加湿能力の適用床面積

定格加湿能力適用床面積
 (ml/ h)木造住宅(和室)プレハブ住宅(洋室)
m2m2
 2006396
 25074117
 30085148
 3501061610
 400117181 1
 4501382113
 500148.52314
出所)一般社団法人日本電機工業会規格「JEM1426」
注)500ml/h超の加湿能力は省略。

加湿器の消費電力の測定

<測定方法と測定条件>

 ここでは、2種類の加湿器(ハイブリッド式、超音波式)の消費電力を測定しました。また、加湿器稼働時の温度、相対湿度(以後、単に湿度と称する場合は相対湿度を指します)を1分ごとに測定しています。温度、湿度の計測はエンペックス気象計㈱の温湿度計を用いて測定しています。また、ハイブリッド式の加湿器は湿度計を内蔵しているのでその湿度も参考に記録しています。

 センサーと加湿器の配置は下図のとおりであり、センサーの型式、精度は下表に示す通りです。家庭用の計測器ばかりですので、精度は余り高精度とはいえません。部屋の面積は約10m2であり測定対象の加湿器の適用床面積(プレハブ洋室)14m2までの範囲内に入っており、適切な能力を有していると言えます。

 運転開始と同時に、エアコンも稼働させており、その設定温度は22℃です(なおエアコンは「エアコン(8)-暖房時の室内熱収支の修正」に示したNocria、AS-Z22Kです)。

<センサー類の配置図>

表-3 センサー類の概要

計測器メーカー型式精度
電力計ラテック株式会社RS-WFWATTCH1
温湿度計(温度計)エンペックス気象計株式会社TM-2301±1℃(-20~40℃)
温湿度計(湿度計)±3%(35~75%常温)
加湿器内臓の湿度計ダイニチ工業株式会社HD-RX319±5%(デジタル湿度センサー)

(1)加湿器1(ハイブリッド方式:温風気化式)

<測定対象の加湿器>

 対象となった加湿器は下図のダイニチ工業株式会社の製品(型名HD-RX319)です。本製品はハイブリッド方式であり、水を含んだ抗菌気化フィルターに風を当てて加湿する「気化式」と、温風をあてて加湿する「温風気化式」を組み合わせたものです。下図(右側)にその装置構成を示します。

出所)ダイニチ工業、公式サイト
出所)ダイニチ工業、取扱説明書

 本加湿器は、湿度が低い時は「温風気化方式」ですばやく加湿し、設定温度に近づくと温風を使わない「気化式」に切り替えて加湿量を調整します。詳細な仕様を下表に示します。運転モードは6種類あり、それぞれの消費電力(最大)と加湿量(最大)は下表の通りです。ヒーターを利用するため、気化式、超音波式などと比べて消費電力量が大きくなっています。しかし、運転モードの設定によって省エネ運転もできるようになっています。

表-4 測定対象加湿器(ハイブリッド式)の仕様

項   目   内    容
型   名HD-RX319
加湿方式ハイブリッド加湿器(温風気化、気化式)
電源電圧及び周波数AC 100 V、50/60 Hz
加湿運転標準静音/おやすみ加湿エコ(eco)のど・肌加湿ターボ
消費電力(最大)161/161 W158/158 W11/11 W161/161 W168/168 W
加湿量(最大)注1)300 ml/h250 ml/h160 ml/h300 ml/h350 ml/h
連続加湿時間 注1)約10.7時間約12.8時間 注2)約20.0時間約10.7時間- 注3)
運転音最大23 dB17 dB23 dB23 dB30 dB
最小13 dB13 dB13 dB13 dB30 dB
夕ンク容量3.2 L
適用床面積木造和室8 m2(5畳)まで
プレハブ洋室14 m2(8畳)まで
外形寸法(高さ,幅,奥行)325 mm×325 mm×150 mm
質 量約3.3 kg
安全装置転倒自動停止装置、室温異常自動停止装置
注1)加湿量は室温20℃、湿度30%の場合
注2)おやすみ加湿運転設定時は約10時間で運転を停止します。
注3)ターボ運転設定時は最長1時間で終了します。
出所)ダイニチ工業、ハイブリッド加湿器(2019年製)、取扱説明書

 下表に運転モード別の消費電力量のスペック値と実測値を示します。実測値は概ねスペック値と同じでしたが、「お休み加湿」では実測の結果、設定直後は6Wと最も少ない消費電力となっており、1時間経過後に「静音」モードで運転することが分かりました。

表-5 各運転モード別のスペック消費電力と実測消費電力

 運転モード  運転内容スペック消費電力(W)実測消費電力(W)
ターボ風量を強めて設定温度まで素早く加湿  168  166
標準好みの湿度に加湿する  161  161
のど/肌加湿冬場の乾燥時にのど・肌の潤いを守る加湿  161  161
静音運転音を抑えて加湿  158  156
ECO消費電力を抑えて加湿  11  11
お休み加湿就寝時に風量を抑えて静かに加湿  158 6/156
注)お休み加湿運転モードは、最初の1時間は湿度に関係なく風量を最小に抑えて運転し、その後静音運転で9時間運転後に停止する。

<測定結果>

 加湿器の時系列的に実測された消費電力と、温度、湿度(相対湿度)の変化を下図に示します。加湿器の運転モードは「標準」であり、設定湿度は50%です。

 加湿器のスイッチON後3分間は約11W程度の低電力で運転され、その後「標準」モードの161Wで運転が継続します。加湿器の内臓湿度計が50%を超えた後に、消費電力量が6W程度に変わったため加湿器の運転モードが変わった(省エネ運転への移行)ものと思われます。本加湿器を46分間稼働させたときの総消費電力量は86.3Whでしたので、この間の平均消費電力は112.6Wということになります。さらに測定を継続すれば6Wが続くことで、平均消費電力は低下していくと思われます。

 もし、省エネ運転を考慮して急ぎで湿度を上げる必要がなければ、「ECO」モードで運転をすれば、この10分の1の電力で運転することができます。ただし、その場合はハイブリッド式ではなく気化式で十分ということになり、ハイブリッド方式を購入した意味がなくなると思われます。

 ところで、上図で2つの湿度計の湿度が大きく異なっていることに気づかれたと思います。表-3に示したように、どちらの湿度計も高精度というわけでない(±3~5%)のですが、しかし全く狂っているというわけではないということを以下に示したいと思います。

<両湿度計の指示値の相違について>

 2つの湿度計の指示値が異なる原因は、両湿度計の配置された場所の違いです。以前の投稿「エアコン(6)-暖房時の環境質管理」にも示したように、この部屋の温度の水平・垂直分布が非常に大きいことが分かりました。これは、外壁や窓の断熱性が低いためです。温湿度計の位置はエアコンの送風が当たる壁に面しており、床からの高さが1mの位置で、温度が高くなる位置です(センサー類の配置図参照)。一方、加湿器の内臓湿度計の位置はエアコンの温風が当たりにくく外壁に面していること、さらに高さが床から30cmの位置のため温度が低くなる位置です。そのため、両者の温度差は3~4℃程度ある可能性があります。

 ある期間の温度差を仮定して、その時の湿度がどうなるかを試算した結果を以下に示します。ここでは、温度と湿度があまり大きく変化していない以下の2つの区間(下図参照)の湿度を比較します。

(1) 経過時間12分~16分:室温22℃、湿度計35%、加湿器内臓湿度計48%(平均値)
(2) 経過時間32分~46分:室温22℃、湿度計42%、加湿器内臓湿度計51%(平均値)

 ここでの計算方法は、加湿器の内臓湿度計における温度を仮定し、その温度の下での湿度を推定するものです。湿度(相対湿度)は温度によって変化するので、まず温度による絶対湿度を算定し、その値から相対湿度を算定します。なお、この計算方法の詳細は本サイトの「湿度の管理(1)-結露対策」を参照ください。計算結果は以下の通りです(下の計算式中の飽和空気の絶対湿度は参考文献1から引用しています)。

<経過時間12分~16分の区間の計算>
・室温22℃、湿度計35%
・室温に対応した飽和空気の絶対湿度1) 16.7g/kg(DA)
・この時の絶対湿度は5.8 g/kg(DA) (=16.7×35/100)
・加湿器の内臓湿度計の温度を18℃と仮定する
・18℃の飽和空気の絶対湿度1) 12.9g/kg(DA)
・加湿器の相対湿度の計算値 45%(=5.8/12.9×100)
・加湿器の相対湿度の表示値 48% (上記との誤差は6%程度です)

<経過時間32分~46分の区間の計算>
・室温22℃、湿度計42%
・室温に対応した飽和空気の絶対湿度1) 16.7g/kg(DA)
・この時の絶対湿度は7.0 g/kg(DA) (=16.7×42/100)
・加湿器のセンサー部の温度を19℃と仮定する
・19℃の飽和空気の絶対湿度1) 13.8g/kg(DA)
・加湿器の相対湿度の計算値 51%(=7.0/13.8×100)
・加湿器の相対湿度の表示値 51% (上記とほぼ一致します

 (1)経過時間12分~16分においては、加湿器の湿度の計算値は45%であり、実際の表示値48%とは誤差が6%でした。(2)経過時間32分から46分においては、加湿器の湿度の計算値は51%であり、実際の表示値51%と一致していました。

 上記の計算では、初期(経過時間12分~16分)の温度差を4℃、終期(経過時間32分~46分)の温度差を3℃と仮定していますが、これまでの温度の測定結果よりこれらの温度差は十分にあり得ることであると思われます。計算結果より、両方の湿度計は概ね正確な値を示していると考えられます。このことから、加湿器の配置からそこの温度も考慮して湿度設定値を決めることが必要です。

<湿度計の湿度が50%となる加湿器の湿度設定>

 それでは、湿度計(床面からの高さ1m、部屋の中央部に設置)の湿度が50%となるように加湿器の湿度設定をする方法を以下に示します。下図に加湿器と湿度計の温度差を仮定して、湿度計が50%となるよう加湿器の設定湿度を計算した結果を示します。温度差が大きくなるほど設定湿度を上げていくことが必要となります。温度差が3℃の場合は加湿器の湿度設定値を60%にしておくことで、湿度計の湿度を50%に制御することができます。

(2)加湿器2(超音波式)

<測定対象の加湿器>

 測定対象の加湿器の仕様を下表に示します。本加湿器は超音波振動加湿方式であり、定格消費電力は25Wと少ない値となっています。また、最大加湿量は300ml/hです。湿度設定はできませんが、ダイヤルにより加湿量を連続的に変更することが可能です。適用床面積の目安はプレハブ洋室で14m2(8畳)、木造和室では8m2(5畳)であり、先程検討したハイブリッド型の加湿器と同レベルと言えます。

表-6 測定対象加湿器(超音波式)の仕様

項  目  内  容
容  量4L
電  圧交流100V
周 波 数50/60Hz
消費電力25W
本体重量1.6kg(満水時:5.6kg)
加 湿 量1 時間当たり最大300ml
適用床面積の目安木造和室:8m2(5畳)
プレハブ洋室:14m2(8畳)
連続使用時間(約)12時間(※使用状況、環境により異なります)
加湿方式超音波振動加湿方式
サイズ(約)幅22cm×奥行22cm×高さ31cm

 測定場所は前述の通りであり、測定機器も前回と同様です。ただし、この加湿器には湿度計が内臓されていませんので、湿度を温湿度計(TM-2301)のみで計測します。

<測定結果>

 加湿器の消費電力量の推移を下図に示します。また、稼働時の室温と相対湿度の推移をその下に示しています。加湿器はフルパワーで運転しています。

 稼働開始時の温度は21℃、相対湿度31%です。湿度はほぼ直線的に上昇し、40分後に50%を超えています(相対湿度の定義からは、上昇のスピードは次第に低下するはずです)。温度はほとんど変化していませんが、最終的には20.5℃と若干低下しています(本加湿器が水滴を空気中に放出するため、室内が冷えたものと思われます)。

 消費電力は22.5Wとほぼ一定の値(定格消費電力の90%)で推移しています。なお、本加湿器は内部にLEDが設置されていて、タンクの水量が見えるようになっており、そのLEDが加湿終了後も電力を消費しています(1.3W程度です)。測定期間の総消費電力量は40分間で約15Whでした。

 ハイブリッド式の温風気化式と比べると消費電力量は非常に小さなものです。また、相対湿度を10%上昇させる時間はハイブリッド式が標準モードで20分かかっていたのに対し、こちらでは約17分(フルパワー)と若干早くなっています。消費電力量が少なくても加湿能力は高いと言えます。ただし、この機種には湿度設定を行う機能がついていないため、湿度を監視していなければ、過剰に加湿してしまう可能性がありますので、注意が必要です。

 超音波式は、水蒸気ではなく非常に細かな水滴を空気中に放出するため、若干部屋の温度を冷やしてしまうという特徴がありました。また、今回の測定では維持管理の容易さやそれを怠った場合の雑菌の繁殖などについて評価はできませんので、それも考慮して機種を検討すべきと考えられます。加湿器によるレジオネラ菌による健康被害や韓国での死亡事故の事例など、健康面での注意すべき点が多いのですが、参考文献に示すにとどめます3)4)

まとめ

 今回は加湿器を取り上げ、機種ごとの湿度管理におけるメリット、デメリットや消費電力に関する検討を行いました。

 加湿器はその加湿原理により、気化式、超音波式、スチーム式、ハイブリッド式に分類できます。気化式は水を含んだフィルターに風を当てて水蒸気を発生させるもので、超音波式は振動により水を霧状にして放出する方式です。これらはヒーターを使わないので消費電力が少ない(気化式5W、超音波式25W)ですが、前者は加湿能力が不足すること、後者は維持管理が悪いと雑菌を放出するというリスクがあります。

 スチーム式は水をヒーターにより気化して加湿する方式であり、雑菌の放出の可能性はないものの消費電力は大きい(300W程度)ものです。ハイブリッド式は気化式とスチーム式または超音波式を組み合わせたものであり、気化式の能力不足を補い、雑菌の放出というリスクも軽減するというものですが、ヒーターを使うので消費電力量は比較的大きくなります。

 また、機種によって温度設定が可能なもの、設定温度を超えると省エネ運転に切り変わるもの、就寝時の静音モードやのど・肌のうるおい加湿、タイマーなどの機能が付加しているもの(測定に用いたハイブリッド式)があり、これらを使うことにより快適な湿度管理ができます。これらの特徴を考慮して加湿器の機種を選択することが必要です。

 ハイブリッド式と超音波式の加湿器を実測した結果、以下のことが分かりました。
(1) ハイブリッド式の消費電力は161W(標準)であり、超音波式のそれは22.5W(フルパワー)です。
(2) 前者は消費電力が11W のeco運転モードがあり、また目標湿度に達すると6Wまで低減するなど、省エネ運転が可能です。また、超音波式も連続的に出力を調整できますが、湿度計を見ながら手動で調整する必要があります。
(3) 相対湿度を10%上昇させる時間はハイブリッドが標準モードで20分に対し、超音波式は約17分(フルパワー)と若干早くなっており、消費電力量が少なくても加湿能力は高いと言えます。
(4) ハイブリッド式は設定湿度をセットすることで一定の湿度を維持できる機種でしたが、実際の測定でもその機能を確認することができました。また各運転モード別の消費電力もスペック値と同程度であることを確認できました。
(5) ハイブリッド式の加湿器の測定で分かったことですが、加湿器の位置により望ましい湿度管理ができない場合がありました。加湿器のある場所の温度と湿度計の位置の温度が異なると、湿度も変わってくる(相対湿度のため)ことが原因です。それを考慮して加湿器の場所を選定することが必要であり、温度差が避けられない場合はその温度差を考慮して設定湿度を変える必要があるということです。
 
<参考文献>
1)宇田川光弘、他:建築環境工学-熱環境と空気環境(改訂版)、朝倉書店、2020.
2) 一般社団法人日本電機工業会、公式Webサイト、
https://www.jema-net.or.jp/Japanese/ha/danbou/whats_k.html
3)厚生労働省通知、レジオネラ症防止対策について、1999年11月26日
https://www.mhlw.go.jp/www1/houdou/1111/h1126-2_13.html
4)厚生労働省 韓国の加湿器用除菌剤の回収についての情報提供
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001z31f-att/2r9852000001z44g.pdf