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省エネ規制

エアコンと建築材料の省エネ基準の見直し

 経済産業省よりエアコンと建築材料(サッシと複層ガラス)の省エネ基準についてそれぞれの審議会で報告がされたことが通知されていますので、その概要を示します。この報告に基づいて、今後経済産業省の告示によって省エネ基準の改訂が行われる予定です。

エアコンの新たな省エネ基準の検討

 去る2月8日に経済産業省はエアコンの次期省エネ基準の改定に関する協議結果を報告しました。これによると、2019年12月より行ってきた家庭用エアコンディショナーの新たな基準エネルギー消費効率(省エネ基準)について、2022年1月13日の審議会を経て、「家庭用エアコンディショナーの新たな省エネ基準に関する報告書」を取りまとめたとのことです。現行の省エネ基準と比較し最大で34.7%(壁掛形4.0kW)の改善が見込まれています。
 取りまとめた内容を以下に示します。

(1)対象範囲
 家庭用エアコンディショナーのうち、壁掛形、壁掛形以外(天井埋込カセット形、壁埋込形、床置形等)、マルチタイプの形態のもの
(2)目標年度
  1)2027年度(壁掛形)
  2)2029年度(壁掛形以外、マルチタイプ)
(3)区分
 ユニットの形態、冷房能力、仕様(一般地/寒冷地)の3つの要素を踏まえた10区分を設定
(4)省エネ基準
 代表的な家庭用エアコンディショナーの次期省エネ基準は以下の表のとおり注1)。次期省エネ基準については、現行の省エネ基準と比較し、最大で34.7%(壁掛形4.0kW)の改善を見込む。

ユニットの形態冷房能力現行の省エネ基準
(APF)
次期省エネ基準
(APF)
改善率 注2)
(%)
壁掛形2.2kW5.86.613.8
2.5kW5.86.613.8
2.8kW5.86.613.8
3.2kW5.86.613.8
4.0kW4.96.634.7
4.5kW5.56.518.2
5.0kW5.56.416.4
5.6kW5.06.326.0
6.3kW5.06.122.0
7.1kW4.55.931.1
8.0kW4.55.726.7
9.0kW4.55.522.2
10.0kW4.55.317.8
注1)表は出荷台数の多い壁掛形の形態の一部の省エネ基準を示したもの。
注2)現行の省エネ基準に対する次期省エネ基準の改善率を算出。なお、次期省エネ基準については一般地の省エネ基準を、現行の省エネ基準については寸法規定の省エネ基準を用いて算出。

建築材料の新たな省エネ基準の検討

 資源エネルギー庁に設置されている建材トップランナー制度に関する審議会において、省エネ法に基づくサッシ及び複層ガラスの建材トップランナー制度の新たな目標基準値等についての審議を2021年6月から行い、2022年3月10日に取りまとめました。

 新たな目標基準値については、2030年以降に新築される住宅に求められる省エネルギー性能から窓に求められる断熱性能を逆算することにより求めており、サッシと複層ガラスを組み合わせた窓としては、目標基準値を約4割引き上げることとなるようです。

(1)対象範囲
 主に戸建・低層共同住宅等に用いられるサッシ及び複層ガラス
(2)目標年度
 2030年度
(3)区分
 サッシ 開閉形式(引き違い/縦すべり出し/横すべり出し/FIX/上げ下げ)別に5区分、複層ガラス 1区分
(4)目標基準値
 サッシ及び複層ガラスの次期目標基準値及び現行目標基準値からの改善率は以下のとおり。

区分現行の目標基準値
[W/(m2・K)]
新制度の目標基準値
[W/(m2・K)]
改善率 注2)
(%)
サッシ引き違い3.502.1638.3
縦すべり出し3.752.0645.1
横すべり出し3.692.0444.7
FIX3.351.8744.2
上げ下げ3.972.3042.1
複層ガラス2.191.6723.7
注1)2030年に窓に求められる断熱性能は2.08(W/(m2・K))。
注2)サッシの現行目標基準値と次期目標基準値は、想定している標準ガラスの性能値が異なるため、性能改善率はサッシのみによるものではない。また、新制度では代表サイズでの計算となっている。
注3)サッシ及び複層ガラスの次期目標基準値は、2030年に窓に求められる断熱性能をベースに算出。

<参考文献>
1) 経済産業省:ニュースリリース、「家庭用エアコンディショナーの新たな省エネ基準に関する報告書を取りまとめました」、2022年2月8日
2) 経済産業省:ニュースリリース、「サッシ及び複層ガラスの新たな省エネ基準を取りまとめました」、2022年3月10日