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エアコン③-消費電力の測定

エアコンの稼働時の消費電力

 エアコンは冷房と暖房の役割があり、季節的に運転時の消費電力が大きく異なるものです。予定では今回の報告で、冷房の運転方法による消費電力量について分析する予定でした。しかしながら、この報告を書く前の1週間程度は最高気温が30℃を越えなかったため、エアコンの運転データを取ることができないまま時間が過ぎてしまい、十分な検討ができませんでした。しかし、いくつかの知見を得ましたので、以下に不十分ながら報告します。

 今回計測に使うエアコン(富士通ゼネラルのノクリア、2020年製、型番AS-Z22K)の仕様を下表に示します。利用している部屋は6畳なので能力は2.2kWの機種です。富士通ゼネラルの2020年製の他の製品を比較のため併記しています。AZ-Z22Kは省エネ達成率120%(多段階評価「4つ星」)、APF6.9、期間消費電力が603kWhです。他の2つ星の製品(AS-SV22BKとAS-D22K)は省エネ達成率が100前後、期間消費電力は682~717kWhであり、その差は2割程度であることが分かります。

 なお、参考に2000年発売の同じメーカーのエアコン(AS22NPV)の性能も示しています。期間消費電力は869kWhでしたので、AS-Z22Kとの差は約270kWhになります。この差は最新の電気冷蔵庫の1年間の消費電力を超えるものです。エアコンも各メーカーとも省エネ型の機種を提供してきており、古い機種の買い替えと運転方法の工夫が省エネ効果をアップさせるでしょう。

表-1 エアコンの機種別省エネ性能

製品名型 番省エネ達成率APF(通年エネ
ルギー効率)
期間消費電力
(kWh/年)
NocriaAS-Z22K
(測定に使用した機種)
120(4つ星)6.9603
AS-SV22BK105(2つ星)6.1682
AS-D22K100(2つ星)5.8717
2000年モデルAS22NPV869
注)上記の製品は㈱富士通ゼネラルの2020年版製品と2000年製品を比較したもの。APF:通年エネルギー消費効率。数字が大きいほど省エネ効果が高い。

 測定対象のエアコンの仕様を下表に示します。冷房能力は2,200W、冷房消費電力は390Wで、これはCOP(成績係数)が5.6(=2,200/390)になります。成績係数については、本サイトの報告(「エアコン①-省エネ性能」)を参照ください。

表-2 消費電力を測定したエアコンの仕様

数 値範 囲
冷 房能 力(W)2,200600~3,400
消費電力(W)390130~880
運転電流(A)5.2
暖 房能 力(W)2,500600~5,500
消費電力(W)425110~1,500
運転電流(A)5.2(15.0)
通年エネルギー消費効率(APF)6.9

 消費電力の計測結果を以下に示します。スイッチON直後の短い立ち上がりは上下風向板が一度開閉する際の電力です。その後、一気に500Wまで上昇し、その後1、2分で200Wまで低下します。部屋の温度が設定温度に近づくと次第に消費電力は低下していき140W程度で一定になりました。スイッチOFFにすると2.5W程度まで低下し、この電力消費が2分45秒程度続きます。この間で内部クリーン機能が稼働している可能性があります(現時点では不明)。

 このように、冷房の定格消費電力は2,200Wですが、立ち上がり時は500W、定常運転時は140Wから200W程度の消費電力と思われます。立ち上がりの消費電力が500Wなので、何度もスイッチをON、OFFして節電するよりも、スイッチを切らずに定常運転を行っておく方が節電になるように思います。

エアコンの待機電力


 次に、このエアコンの待機電力について検討します。スイッチOFF後の消費電力の推移を下図に示します。スイッチOFF後に2.5Wとなり、この消費電力(おそらく内部のフィルターのクリーニング機能が稼働)が終了した後は、0.5Wと0Wを交互に記録しています。本ワットチェッカーの測定下限は1Wなので、0.5W以下は誤差が大きいと思われますが、微少の電力は消費していると思われます。ただし、その電力は非常に小さく0.5W以下と想定されます。

 本エアコン(ノクリア 2020年製、型番AS-Z22K )は6畳用の小型エアコンであり省エネ性能も高いため、待機電力が小さいという可能性があります。他の大型のエアコンで製造年数が古いものについては、さらに調査する必要があります。

まとめ

 エアコンの運転時の消費電力量の測定を行いました。測定を予定していた時期が気温が低くエアコン(冷房)を快適に運転させることができず、十分なデータを取ることはできませんでしたが、以下の知見を得ました。対象のエアコンは 冷房の定格消費電力は2,200W 、省エネ達成率120%、APF6.9、期間消費電力が603kWhの製品です。

 エアコンは電源ON時の直後は大きな電力を消費します。立ち上がり時は500Wを越えますが、定常的には140~200W程度の消費電力でした。エアコンのON/OFFをこまめにしない方が省エネになるということは確かにあると思います。しかし、この測定期間は最高気温も高くなく、冷房負荷が小さいため一般的な傾向を表しているかどうか不明でした。

 エアコンの電源OFF直後は2.5Wまで低下してこの電力を約2分45秒間継続します。これは内部のフィルターのクリーニング機能が作動しているものと思われます。クリーニング後は0と0.5Wの範囲で変動しており、待機電力は大きくないものと思われます。エアコンの待機電力は機種によっては大きいとの説もありますので、製品購入時にはそれらもヒアリングして購入することが必要です。