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液晶テレビ

液晶テレビ③-省エネ機能の利用

液晶テレビの省エネ技術

 テレビの画面サイズや画素数の大型化に伴い増加する消費電力を抑えるための省エネ技術も色々開発されているようです。下表に液晶テレビの省エネ技術を示しています。同表に示すように、テレビ画面のバックライトにLEDを採用して消費電力を削減しています。LEDについては、照明のところでも説明しますが、蛍光管に比べて大幅に消費電力量を削減できるほか、点灯のオン/オフを高速に行えるため、映像シーンに応じた発光制御が行いやすいという利点があります。

表-1 液晶テレビの省エネ技術

節電機能内 容
①LEDバックライトの採用バックライト(液晶パネルの背面に光源として配置される照明装置のこと)にLEDを採用して、消費電力を削減。
②無信号自動オフ機能一定時間信号がないときは、自動的に電源をオフにする機能。
③無操作自動オフ機能一定時間操作を行わない場合は、自動的に電源をオフにする機能。
④明るさセンサーテレビを見る部屋の明るさに応じて、画面の明るさを自動的に調整し、 ムダに消費する電力を低減する機能。

 このほか、最近のテレビには無信号自動オフ機能や無操作自動オフ機能などで自動的に電源をオフにする機能もあります。さらに、明るさセンサーにより、テレビを見る部屋の明るさに応じて、画面の明るさを自動的に調整し、ムダに消費する電力を低減する機能を搭載している機種もあり、節電を実現しています。

 なお以前の報告(「液晶テレビ①-サイズと画素数の拡大」)に記載したバックライトの種類については、ほとんどのメーカーでは直下型のバックライトに変わってきています。シャープが唯一エッジ型のバックライトを多くの製品に搭載しています。しかし、小型テレビはエッジ型、大型テレビは直下型のバックライト方式が搭載されており、エッジ型と直下型の消費電力の比較はできませんでした。




節電モードでの消費電力

 テレビには省エネモードが設定されている場合が多いようです。また、電力消費に影響を与えるバックライトの明るさも変えることができます。そこで、省エネモードやバックライトの明るさを変えた場合の消費電力を測定しました。測定した液晶テレビは東芝の50インチ液晶テレビ「REGZA 50BM620X」です。

 本液晶テレビの電力モードは、「標準」、「節電1」、「節電2」の3種類です。そして、バックライトは0%から100%まで連続的に変えることが可能です。それぞれの電力モードでバックライトを0%から100%まで10%刻みで変更して消費電力を測定した結果を下図に示します。この結果より、どの電力モードもバックライトが0%の時は40W前後でほぼ同じ消費電力を示しています。しかし、バックライトの明るさが上昇していくにつれて消費電力は大きく異なっていきます。「節電1」はバックライトが100%でも84W程度であり、「節電2」では60W程度までしか上がりません。

 ここで、各電力モードのバックライト100%の時の消費電力をバックライト0%の時の消費電力で割ると「標準」、「節電1」、「節電2」の順に、3倍、2倍、1.5倍となっています。すなわち、バックライトを明るくさせることによる消費電力の上昇の割合がこの倍率で変わることになり、「標準」の時のバックライトの調整の省エネ効果が大きいことが分かります。「標準」の時にバックライトを50%まで低下させると消費電力量は40%削減できます。一方、「節電2」ではバックライトの明るさを50%に下げても18%程度の節電にとどまっており、「標準」に比べて半分程度の省エネ効果しかないことが分かります。 

注)東芝の50インチ液晶テレビREGZA 50BM620Xに録画用ハードディスクを接続して、節電モード、バックライトを変えて消費電力を測定。

 なお、今回の測定ではテレビシステム全体として、録画用の外付けハードディスクを接続したままの消費電力を計測していることに留意する必要があります。外付けハードディスクを接続した時の「標準」の消費電力は130W(バックライト100%時)であり、「節電1」の消費電力は80Wのため「標準」の約62%、「節電2」のそれは60Wのため「標準」の46%になります。

 すなわち、節電モードにすると、バックライトの明るさを変えない場合、「節電1」で38%、「節電2」で54%節電できることが分かりました。さらに、節電モードに設定してバックライトの明るさを落とすことで、さらに節電は可能です。しかし、テレビの見やすさを考慮すると、「節電1」のバックライト100%のところが一番見やすいように思いました。節電を考慮しながら快適な生活を送るための最適な設定を考えてみてください。

 ところで、このような節電設定やバックライトの設定をしたいけれども、設定方法が見つからないという方も多いのではないでしょうか。本測定を行った液晶テレビのメニューも大変分かりにくいものでした。東芝の液晶テレビの節電モードを選ぶ手順は以下の通りです。下図に示すように「設定」メニューから、「その他の設定」→「詳細設定」→「省エネ設定」→「節電モード」の順に選んでいくことになります。なお、バックライトの設定は映像設定から直ぐにバックライトの調整ができるメニューが出てきます。これらの操作を地道に行うことが省エネにつながります。

節電モードまでのメニューの選択手順

まとめ

 本報告では、テレビの省エネ機能について説明してきました。 テレビ画面のバックライトにLEDを採用して消費電力を削減していたり、 無信号自動オフ機能や無操作自動オフ機能などで自動的に電源をオフにする機能もあります。さらに、明るさセンサーにより、 テレビを見る部屋の明るさに応じて、画面の明るさを自動的に調整させる機能などを使って節電することが可能です。

 さらに、テレビの設定画面で節電モードを設定することやバックライトの明るさを調節することによる、消費電力の変化を測定しました。東芝のREGZA、50インチ、4K対応の液晶テレビにおいて、節電モードに変えることでバックライトを変えなくても最大54%の節電が可能(「節電2」の場合)になりました(録画用のハードディスクを接続している状態での測定結果です)。

 また、バックライトの明るさの設定を0%にした場合、どのモードもほぼ同じ消費電力となります。標準モードの場合はバックライトの明るさを変えることで大きな省エネ効果を得ることができます(バックライトを50%まで低下させると40%の省エネが可能)。しかし、見やすい範囲でモードを変えることが必要です。