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調理器具の比較(2)-レトルト食品のあたため

 今回は調理器具の比較の第2回目として、レトルト食品のあたためについて報告します。前回は少量の水を温めるのに最も効率的なものを探るために家電機器を対象に検討しました。比較対象は電子レンジ、IH調理器、電気ケトルです。その結果、少量の水のあたために特化した電気ケトル(保温機能なし)が最も効率的であることが分かりました(詳細は「調理器具の比較(1)-水をあたためる」を確認ください)。

 ここでは、レトルト食品のうち最もポピュラーなカレーのあたためを対象とします。また、これまで対象としてきた電子レンジ、IH調理器に加えて、ガスコンロも対象に検討していきます。前回までは電気をエネルギー源とする調理器具でしたが、今回はガス(都市ガス)を用いたガスコンロも加えて、エネルギー消費量、エネルギーコスト、二酸化炭素排出量について検討していきます。

 ガスコンロは省エネ法のトップランナー制度の対象とされ、省エネ基準が設定されているのですが、今回はその説明をする前に比較対象とすることになりますので、ガスコンロの説明は基本的な部分のみ行います。ガスコンロの省エネ基準などのエネルギー消費特性の詳細については、次回以降の報告で行う予定です。

 今回は、電気とガスの2つのエネルギーを対象としますので、その特徴をより理解するために、コストと温室効果ガス(ここでは二酸化炭素)排出量についても検討します。日本においては、電力の電源構成は依然として化石燃料への依存が高いため、電気をエネルギー源とする二酸化炭素排出量が多い傾向にありますが、実際に測定を行ってその評価を行いましたのでご確認ください。

エネルギー消費量の比較方法

(1)比較対象の調理器具

 今回の検討で対象にする調理器具は電子レンジIH調理器ガスコンロです。これらを使ってレトルト食品のカレーを温めます

 電子レンジはマイクロ波により水分子を振動・回転させて水の温度を上昇させ、食品を加熱する調理器具です。一方、IH調理器は装置内部に配置されるコイルに流れる電流により、所定の種類の金属製の調理器具を自己発熱させることにより食品を加熱するものです。ガスコンロは都市ガスを燃焼させて、その燃焼熱により加熱します。

 測定に用いた調理器具の概要を下表に示します。まず、電子レンジはシャープ株式会社RE-F23Aです。庫内容積は23Lであり、省エネ法の「区分B」(オーブン機能を有するものでヒーターの露出があるもの)で、省エネ基準達成率が104%の製品です。詳細の仕様は「電子レンジ(2)-加熱モード別の消費電力」を参照ください。IH調理器はT-falの卓上IH調理器Daily-IHです。これも前回の熱効率の算定で使用しましたので、詳細の仕様は「IH調理器(2)-消費電力の測定」を参照ください。

 ガスコンロはリンナイ株式会社のグリル付き三口ガスビルトインコンロRHS31W23L9Rです。名称の通りガスバーナが3口とグリルが付いています。すべてのコンロ、グリルにセンサが付いていて火力の制御を行うことができます。左右のコンロの火力はどちらも4,200Wです。本製品は省エネ法の「区分F」(ガスグリル付きコンロの組込み型、バーナの数3口以上)であり、そのコンロの省エネ基準は熱効率55.6%です1)

 本製品のコンロの省エネ基準達成率は100%であるため2)、熱効率は55.6%です。省エネ基準は次回の報告で詳細に説明しますが、コンロのエネルギー消費効率は「熱効率」です。なお、省エネ法におけるエネルギー消費効率の説明は、「エネルギー消費機器のトップランナー制度と省エネラベリング制度」に示していますので、参考にしてください(省エネ法ではガスコンロは「ガス調理機器」と呼ばれています)。

表-1 調理器具の仕様

   電子レンジ IH調理器   ガスコンロ
調理器具の型式 シャープ株式会社
 RE-F23A
T-fal
 卓上IH調理器 Daily-IH
リンナイ株式会社
 RHS31W23L9R
使用エネルギー 電気 電気 都市ガス
定格消費電力 1,460W 1,400W 4,200W
調理器の外観
火力の調節出力500W、600W、1,000W
の3種類 注1)
火力は6段階
180W~1,400W
火力は5段階
省エネ法対象 対象 対象外対象
省エネ基準達成率省エネ区分「B」
104%
   -省エネ区分「F」
100% 注2)
熱効率   54%
(レンジとして)
  80~90%  55.6% 注3)
  (左右コンロ)
出所)各種調理器具の仕様は以下の通り。
シャープ株式会社:加熱水蒸気オーブンレンジ、RE-F23A、取扱説明書
ティファール デイリー IH、取扱説明書
リンナイ株式会社:ビルトインコンロRHS31W23L、取扱説明書
注1)電子レンジの出力と消費電力は異なります。例えば、出力600Wは消費電力1,100Wです。
注2)ガスコンロの省エネ基準達成率は以下によります。
経済産業省資源エネルギー庁:省エネ型情報サイト、ガスコンロ、2022年5月1日閲覧
注3)2002年経済産業省告示第433号(制定)「ガス調理機器のエネルギー消費性能の向上に関するエネルギー消費機器等製造事業者等の判断の基準」、最終改定2019年経済産業省告示46号

(2)エネルギー消費量の測定方法

 温めるレトルト食品の仕様を下表に示します。この製品はハウス食品(株)のジャワカレーで、1人分で質量は200gです。下表に示したように、電子レンジで調理する場合は、「500Wで1分50秒、600Wで1分20秒加熱する」と製品に記載されています。箱のまま製品を電子レンジに入れ所定の出力で加熱しますが、自動的に中袋から蒸気が抜ける仕組みになっています(下の写真を参照)。また、お湯で温める場合は「沸騰させて3分から5分あたためる」と記載されています。

表-2 あたため対象のレトルト・カレー製品

項  目    内    容
製 品 名ハウス食品 ジャワカレー
質 量200g
調理法電子レンジ加熱時間 500W:1分50秒/600W:1分20秒/1,000W:1分
箱に入れたまま、封を切らずにあたためる。フタを折り返したままレンジに入れると、中袋がふくらみ蒸気口から蒸気が抜ける。
お湯でのあたため中袋の封を切らずに3~5分沸騰させてあたためる。鍋に蓋をしない。
出所)ハウス食品、ジャワカレー、製品の調理法の説明文

 下表に各調理器具別の加熱方法を示します。電子レンジは、箱を開けて中袋の上部を露出させたまま出力600Wで、1分20秒の温めを行います。IH調理器及びガスコンロは表-1の容器に水を700mL入れ、水温20℃から沸騰させ、レトルト食品を入れて4分間温めます。IH調理器は火力レベル6(能力1,400W、実消費電力1,300W)、ガスコンロは左こんろ(能力4,200W)の中火(火力レベル3)で温めます。温めの様子を下の写真に示します。

表-3  調理器具ごとの調理(加熱)方法

 項 目  電子レンジIH調理器ガスコンロ
加熱モード「レンジ好みの温度」
出力 600W (1,100W)
火力レベル 6
1,400W
左こんろ
4,200W、中火
加熱方法直接加熱700mLの水を沸騰させて、
お湯で4分間加熱
700mLの水を沸騰させて、
お湯で4分間加熱
加熱用容器 なし
加熱容器の材質鉄ホーローアルミニウム
加熱容器の質量1,066g400g
加熱中の写真
フタを折り返して入れる

 測定に用いた電力モニターはラトックシステム(株)のRS-WFWATTCH1です(下表参照)。

表-4  電力モニター(ワットチェッカー)の仕様

 項 目  内   容     外 観 写 真
メーカー名ラトックシステム株式会社
製品名・型番RS-WFWATTCH1
電源100V
測定範囲1~1,500W
測定項目毎秒の電圧、電流、消費電力
毎分の積算電力量、電気料金、CO2排出量
データ保存CSV形式
通信方法Wifi
出所)ワットチェッカーRS-WFWATTCH1、取扱説明書

 また、ガスの使用量を測定したガスメータの仕様を下表に示します。メータの表示部にはガス使用量の積算値が0.001m3単位で表示されます。調理に使用した都市ガス量は調理前後のメータ積算値から算定します。

表-5  ガスメータの仕様

 項  目    内   容   写  真
メーカー名東京ガス株式会社
製品名・型番通信機能付きマイコンメーター JO型
表示ガス消費量積算値
最小読み取り値0.001m3
最大圧力3.5kPa
最大流量4m3/h
機能過大流量遮断、圧力低下遮断、感震遮断、継続時間オーバ―遮断、微小もれ疑い警報
出所)東京ガス株式会社、公式Webサイト

エネルギー消費量の測定結果

 調理器具別の消費電力量、ガス消費量等の測定結果を下表に示します。また下表には調理器具が加えた熱量コスト二酸化炭素排出量の計算結果についても示しています。各調理器具の調理(加熱)時間は、電子レンジ、IH調理器、ガスコンロの順に1分20秒(80秒)、10分30秒(630秒)、11分(660秒)でした。IH調理器とガスコンロは700mLの水を沸騰させるのにそれぞれ6分30秒、7分かかっていました。

表-6 調理器具別の加熱量、コスト、二酸化炭素排出量

  項 目単位電子レンジIH調理器ガスコンロ
加熱
熱量
加熱時平均消費電力W9461260(中火)
加熱継続時間 80630660
消費電力量 Wh22.8223.1
ガス消費量m30.027
加えた熱量kJ82.1803.21209.6 注1)
コスト電気料金単価 注2)円/kWh3333
ガス料金単価 注3)円/m3170
コスト0.757.364.59
二酸化炭素排出量電力の二酸化炭素排出係数 注4)kg-CO2/kWh0.4470.447
ガスの二酸化炭素排出係数 注1)kg-CO2/MJ0.0499
二酸化炭素排出量kg-CO20.010.10.06
注1)都市ガスの熱量(44.8MJ/m3)、二酸化炭素排出係数(0.0499kg-CO2/MJ)は以下の文献による。
環境省:温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度、算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧、2022年5月1日閲覧
注2)電気料金単価(33円/kWh)は、東京電力エネジーパートナー(株)の「スタンダードS」40Aの契約で、400kWh/月使用時の料金(2022年1月~5月の平均)より単価を算定。付録に単価の算定法と過去の推移を示しています。
注3)都市ガス料金単価(170円/m3)は、東京ガス(株)の「ずっともガス」13Aの契約で、50m3/月使用時の料金(2022年1月~5月の平均)より単価を算定。付録に単価の算定法と過去の推移を示しています。
注4)電気の二酸化炭素排出係数は東京電力エナジーパートナー(株)の0.447kg/kWhを使用。

 電子レンジの消費電力量は22.8Wh、IH調理器のそれは223.1Whでした。また、ガスコンロのガス消費量は0.027m3でした。これらの測定結果より、レトルト・カレーに加えられた熱量は電子レンジ、IH調理器、ガスコンロの順に82.1kJ、803.2kJ、1,209.6kJでした。電子レンジの熱量が極めて少ないことが分かります。なお、都市ガスの発熱量は環境省資料より44.8MJ/m3を用いています3)

 ここで、IH調理器が加えた熱量に熱効率85%を乗じると約680kJであり、これがレトルト・カレーが受けた熱量と考えられます。また、ガスコンロが加えた熱量に熱効率55.6%を乗じると約670kJとなります。レトルト・カレーに与えられた熱量が概ね一致していることから、ほぼ同様の調理(加熱)が行われたと判断できます。

調理器具のエネルギーコストと二酸化炭素排出量

 エネルギーコストをみると、表-6及び下図から分かるように、電子レンジ0.75円、IH調理器7.36円、ガスコンロ4.59円となっています。なお、ここでは電気料金単価33円/kWh(東京電力エネジーパートナーの月使用量400kWhの単価)、都市ガス料金単価は170円/m3(東京ガスの月使用量50m3の単価)を用いています。これらの料金単価については、付録で近年の単価の推移と今回採用した単価の根拠並びに料金の内訳を整理していますのでご確認ください。

 電子レンジは消費電力量の違いから低コストであることは分かりますが、加えた熱量が少ないにもかかわらずIH調理器のコストがガスコンロのそれを大きく上回っています。これは、下表と下図に示すように熱量当りのコストが電気の方がガスよりも約2.4倍(9.19/3.79)高いためです。

 また、熱量当りの二酸化炭素排出量についても電気の方がガスよりも約2.5倍(0.1242/0.0499)多くなっています。これは、電力の電源構成が化石燃料中心であり、その化石燃料を使って行う発電効率が最大でも55%であること、また発電所からの送電ロスなどのため、電気から得られる熱量に対する化石燃料が多くなり、電気使用に伴う二酸化炭素排出量が多くなるためです。

 そのため、IH調理器の熱効率がガスコンロのそれよりも1.5倍効率が良くても、二酸化炭素排出量はIH調理器の方が多くなる(約1.7倍)のです。今後、電力の電源構成が改善されて、再生可能エネルギーの比率が多くなると考えられますが、当面は都市ガスの方がコスト面でも、二酸化炭素排出面でも優位であることに留意しておくことが必要です。

表-7 電気と都市ガスの熱量当りのコスト、二酸化炭素排出量

  項 目  使用量当り単価、二酸化炭素排出量エネルギー当り熱量熱量当り単価、二酸化炭素排出量
コスト(単価)電気33円/kWh3.6MJ/kWh9.17円/MJ電気はガスの約2.4倍
都市ガス170円/m344.8MJ/m33.79円/MJ
二酸化炭素排出量電気0.447kg-CO2/kwh3.6MJ/kWh0.1242 kg-CO2/MJ電気はガスの約2.5倍
都市ガス2.236 kg-CO2/m344.8MJ/m30.0499 kg-CO2/MJ
出所)環境省:温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度、算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧、2022年5月1日閲覧

 次回は今回比較の対象としたガスコンロについて、省エネ法に適用されている区分、省エネ基準、製品の省エネ性能などについて見ていきたいと思います。

まとめ

 今回は、調理器具別にレトルト・カレーのあたために要するエネルギー消費量を測定し、省エネ性を比較するとともに、そのエネルギーコスト、二酸化炭素排出量についても整理しました。対象とした調理器具は、電子レンジ、IH調理器、ガスコンロです。

 測定に用いた電子レンジはシャープ株式会社RE-F23Aです。庫内容積は23Lであり、省エネ法の「区分B」で、省エネ基準達成率が104%の製品です。IH調理器はT-falの卓上IH調理器Daily-IHです。ガスコンロはリンナイ株式会社のグリル付き三口ガスビルトインコンロ RHS31W23L9Rです。省エネ法の「区分F」で、コンロの省エネ基準達成率が100%の製品です。

 調理したレトルト・カレーは、ハウス食品(株)のジャワカレー(200g)です。製品に記載がある調理法に従って、電子レンジでの調理は箱のまま製品を電子レンジに入れ、600Wで1分20秒加熱しました。また、お湯で温める場合(IH調理器、ガスコンロ)は沸騰させてから4分間温めました。

 これらの調理法別に消費エネルギーを測定した結果、電子レンジの消費電力量は22.8Wh、IH調理器のそれは223.1Wh、ガスコンロのガス消費量は0.027m3でした。これらの測定結果より、レトルト・カレーに加えられた熱量は電子レンジ、IH調理器、ガスコンロの順に82.1kJ、803.2kJ、1,209.6kJでした。

 この結果より、電子レンジの熱量が極めて少ないことが分かります。レトルト・カレーのあたためでは、お湯を沸かす必要がない電子レンジがきわめて効率的であることが分かりました。

 また、IH調理器が加えた熱量に熱効率85%を乗じると約680kJであり、ガスコンロが加えた熱量に熱効率55.6%を乗じると約670kJとなります。概ねレトルトカレーに与えられた熱量が一致していることから、ほぼ同様の調理が行われたと判断できました。

 調理器具別のコストを試算した結果、電子レンジ0.75円、IH調理器7.36円、ガスコンロ4.59円となりました。電子レンジの低コストは消費電力量から理解できますが、加えた熱量が少ないにもかかわらずIH調理器のコストがガスコンロのそれを大きく上回っています。これは、熱量当りのコストが電気の方がガスよりも約2.4倍高いためです(電気9.17円/MJ、都市ガス3.79円/MJ)。

 また、熱量当りの二酸化炭素排出量についても電気の方がガスよりも約2.5倍多くなっています(電気0.1242 kg-CO2/MJ、都市ガス0.0499 kg-CO2/MJ)。IH調理器の熱効率がガスコンロのそれよりも1.5倍効率が良くても、二酸化炭素排出量はIH調理器の方が多く(約1.7倍)なるのは、現在の電力の電源構成が原因です。

 今後、電力の電源構成が改善されて、再生可能エネルギーの比率が多くなると考えられますが、当面は都市ガスの方がコスト面でも二酸化炭素排出面でも優位であることに留意しておくことが必要です。

<参考文献>
1)2002年経済産業省告示第433号(制定)「ガス調理機器のエネルギー消費性能の向上に関するエネルギー消費機器等製造事業者等の判断の基準」、最終改定2019年経済産業省告示46号
2)経済産業省資源エネルギー庁:省エネ型情報サイト、ガスコンロ、2022年5月1日閲覧
3)環境省:温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度、算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧、2022年5月1日閲覧

【付録】

 ここでは、変動が著しい電気料金と都市ガス料金の過去の推移を概観し、本報告で採用されたそれぞれの単価の算出方法を示します。

(1)電気料金

 まず、電気料金の推移を、東京電力エナジーパートナー(株)の事例から整理します。下の図は料金メニュー「スタンダードS」(関東エリア)、制限電流40Aの契約で、月使用量400kWhの世帯の電力料金単価(円/kWh)の推移を示しています。単価は2021年1月の26.5円/kWhから2022年5月の34.6円/kWhまで31%増加しています。

 この料金メニューにおける料金の内訳を示したものが下表になります。

付表-1 電気料金の内訳(東京電力EP、スタンダードS、40A、2022年5月の料金)

    費   目使用量、金額
月電力使用量 (kWh)400
基本料金 (円)1,144
従量料金
(円)
120kWhまで 19.88円/kWh 2,386
121kWh~300kWh 26.48円/kWh4,766
301kWh以上 30.57円/kWh3,057
合    計10,209
燃料費調整額(円) 2.74円/kWh1,096
再生可能エネルギー促進賦課金(円) 3.45円/kWh1,380
料金合計 (円)13,829
料金単価 (円/kWh)34.6
注)燃料調整額の調整率(電力使用量の2.74円/kWh)は2022年5月の実績です。再生可能エネルギー促進賦課額の賦課率(電力消費量の3.45円/kWh)は2022年の実績です。
出所)東京電力エナジーパートナー(株)、電気料金プラン一覧、関東エリア、https://www.tepco.co.jp/ep/private/plan/standard/kanto/index-j.html

 料金の内訳は、基本料金と従量料金に加えて、燃料費調整額と再生可能エネルギー促進賦課金が含まれます。上記の料金には、各種の割引は含まれておりません。再生可能エネルギー促進賦課金は毎年設定されており、年々増加傾向にあります。燃料費調整額は毎月調整率が変わりますが、これが月変動の基本的な要因です。発電コストのうちの大部分を占める化石燃料の価格によって変動しています。

 最新の単価は34.6円/kWhですが、本報告で採用した33円/kWhは2022年に入ってからの平均値(33.3円/kWh)を丸めた数値です。従来は27円/kWhという数字が一般的に使われてきましたが、近年の増加傾向を反映するべきと考え、この数値を採用しています。

(2)都市ガスの料金

 次に、都市ガスの料金を東京ガス(株)の事例から整理します。下図に、料金メニュー「ずっともガス」の月使用量50m3/月の場合の料金単価(円/m3)の実績を示します。2021年1月の129.2円/m3から2022年5月の178.8円/m3まで38%増加しています。

 料金の内訳は下表の通りです。ガスの従量料金は電力料金とは違って、該当する使用量ランクの単価に使用量を乗じて算出します。例えば、50m3/月の使用量の場合は、下表の「11~80m3」のランクの従量料金単価(157.63円/ m3)を使用量に乗じて算定します。

 また、従量料金単価は原料となる天然ガスとプロパンガスの価格の変動に応じて毎月設定されています。3ヶ月の平均原料価格と基準となる原料価格を比較し、その変動分について、算定期間の最終月から3ヶ月後の検針分に反映させています。

 最新(2022年5月分)のガス料金単価は178.8円/m3ですが、本報告で採用した170円/m3は2022年に入ってからの平均値(169.9円/m3)を丸めた数値です。

付表-2 都市ガス料金の内訳(「ずっともガス」、13A 45MJ、2022年5月分の料金)

    費   目使用量、金額
月使用量 (m350
基本料金 (円)1,056
従量料金(円)0~10m3187.33円/m30
11~80m3157.63円/m37,881.5
81~200m3155.43円/m30
合  計7,881.5
料金合計 (円)8,937.5
料金単価 (円/m3)178.8
注)ガスの従量料金は該当する使用量ランクの単価に使用量を乗じて算出します。
 また、各月の従量料金単価は「貿易統計にもとづく3ヶ月の平均原料価格と、基準となる原料価格(基準平均原料価格)を比較し、その変動分について、算定期間の最終月から3ヶ月後の検針分に反映します」。
出所)東京ガス、原料費調整制度、https://home.tokyo-gas.co.jp/gas/ryokin/chousei.html
出所)東京ガス、ガス料金表、https://e-com.tokyo-gas.co.jp/ryokin/?tik=1&ym=202204