今回は、調理器具の比較の4回目として冷凍食品の焼飯を2つの調理器具を用いてあたため、その際のエネルギー消費量について分析します。用いる調理器具は電子レンジとガスコンロ(こんろ部)です。使われるエネルギーは電気と都市ガスです。
前回も電気と都市ガスのエネルギー消費量の比較を行いました(「調理器具の比較(3)-ピザを焼く」)。高温で焼いて表面に焦げ目をつけるグリル機能を使って、ピザを焼くのにオーブントースターとガスコンロのグリル部を使って消費エネルギーを比較しました。その結果、オーブントースターの方が加える熱量は少ないですが、ピザが受ける熱量は同じであることが分かりました。これは、オーブントースターの熱効率がガスコンロのそれよりも大きいためです。
食品が受ける熱量とは調理器具が加えた熱量に熱効率を乗じたものです。ガスコンロの熱効率は50%台と低く、多くの電気器具のそれは85~90%と非常に効率的です。しかし、電気器具のうち電子レンジはその原理上、熱効率が低い(55%程度)特徴があります(「電子レンジ(1)-省エネ性能」を参照ください)。
電子レンジはマイクロ波により食品中の水分子を振動・回転させて温度を上げています。マイクロ波を発生させるマグネトロンの稼働に多くの電力を要するため、熱効率が低くなるのです。しかし、そのマイクロ波の加熱の特徴により、レトルト食品のあたためではお湯を沸かす必要がなく、直接レトルト食品を温めることができるため、非常に効率的な調理が可能でした(詳細は「調理器具の比較(2)-レトルト食品のあたため」を参照ください)。
今回は、比較の対象がガスコンロ(こんろ部)であり、直接食品を加熱するため電子レンジとの差がどの程度あるか興味深いところです。水の沸騰とは異なり食品のあたためは熱効率の直接的な計測は行えないため、今回も製品に記載のある調理法に従ってあたためを行い、消費エネルギー量の測定とそのコスト、二酸化炭素排出量を比較しましたので報告します。
エネルギー消費量の測定方法
(1) 測定対象の調理器具
測定対象の調理器具は電子レンジとガスコンロ(こんろ部)です。以下にそれぞれの調理器具の仕様と調理のメニューを示します。
測定に使用した電子レンジは、シャープ株式会社の加熱水蒸気オーブンレンジ、RE-F23Aです。定格消費電力は1,460Wであり、高周波出力は500W、600W、1,000Wの3種類です。注釈にあるように出力とは食品に与えられる熱量のことであり、消費電力のことではありません。電子レンジの熱効率は55%程度のため、出力を55%で除した値が消費電力になります。具体的には出力600Wの消費電力は1,100Wです1)。本製品の省エネ区分は「区分B」であり省エネ基準達成率は104%です。
表-1 調理器具の仕様
電子レンジ | ガスコンロ | |
---|---|---|
調理器具の型式 | シャープ株式会社 RE-F23A | リンナイ株式会社 RHS31W23L9R |
使用エネルギー | 電気 | 都市ガス |
定格消費電力または最大火力 | 1,460W | 11,200W 左右コンロ4.2kW、後ろコンロ1.27kW、 グリル2.52kW |
調理器の外観 | ||
火力の調節 | 出力500W、600W、1,000Wの3種類 注1) | 火力は5段階 |
省エネ法対象 | 対象 | 対象 |
省エネ基準達成率 | 省エネ区分「B」 104% | 省エネ区分「F」 100% 注2) |
熱効率 | 約55% (レンジとして) | 55.6% 注3) (こんろ部) |
シャープ株式会社:加熱水蒸気オーブンレンジ、RE-F23A、取扱説明書
リンナイ株式会社:ビルトインコンロRHS31W23L、取扱説明書
注1)電子レンジの出力と消費電力は異なります。例えば、出力600Wの消費電力は約1,100Wです。
注2)ガスコンロの省エネ基準達成率は以下によります。
経済産業省資源エネルギー庁:省エネ型情報サイト、ガスコンロ、2022年5月1日閲覧
注3)2002年経済産業省告示第433号(制定)「ガス調理機器のエネルギー消費性能の向上に関するエネルギー消費機器等製造事業者等の判断の基準」、最終改定2019年経済産業省告示46号
測定対象のガスコンロは、リンナイ株式会社の両面焼きグリル付き3口、ガスビルトインコンロ、RHS31W23L9Rです。本製品の火力構成は左右コンロが4.2kW、後ろコンロが1.27kW、グリルが2.52kWです。本製品のこんろ部の省エネ区分は「区分F」であり、その省エネ基準達成率は100%であり、熱効率は55.6%です。ここでは、左コンロを使って冷凍焼飯を温めます。
(2)エネルギー消費量の測定方法
温める冷凍焼飯の仕様を下表に示します。この製品はマルハニチロ(株)の焼豚炒飯です。質量は2人前で480gです。下表にあるように、電子レンジの加熱時間は、1袋分(480g)を温める場合「500Wで7分40秒、600Wで7分」とあります。1/2袋分(240g)の場合は、「500Wで4分、600Wで3分50秒」と記載されています。
また、フライパンで温める場合は「フライパンをあたため、油をうすくひきます。凍ったままの商品を袋から出し、「中火」でいためる」とあり、1袋分の加熱時間は4~5分です。今回は、1/2袋分(240g)を温める際のエネルギー消費量を測定します。
表-2 温め対象の冷凍焼飯の仕様
項 目 | 内 容 | |
---|---|---|
製 品 名 | マルハニチロ株式会社 焼豚焼飯 | |
質 量 | 480g (2人前) | |
調理法 | 電子レンジ | 凍ったままの商品を袋から出し、皿に平らに盛り、ラップをかけずに加熱する。 |
フライパンでのあたため | フライパンをあたため、油をうすくひきます。凍ったままの商品を袋から出し、「中火」でいためる。 | |
加熱時間 | 電子レンジ | 1袋(480g) 500W:7分40秒/600W:7分 1/2袋(240g) 500W:4分/600W:3分50秒 |
フライパンでのあたため | 4~5分 |
調理器具別の加熱方法を下表に示します。電子レンジの加熱方法は、皿に1人分(240g)をとり、ラップをかけずに電子レンジに入れ、出力600Wで3分50秒のあたためを行います。ガスコンロの加熱方法は、1人分(240g)をフライパンに入れ、左コンロの「中火」で3分ほどかき混ぜながら炒めます。過熱時間は1/2袋の場合の説明がないため、焼飯の出来具合を判断して決定しました。
表-3 調理器具ごとの調理(加熱)方法
項 目 | 電子レンジ | ガスコンロ |
---|---|---|
加熱モード | 「レンジ好みの温度」 出力 600W (約1,100W) | 左コンロ(4,200W) 「中火」(1,780W:火力レベル3) |
加熱方法 | 直接加熱 | フライパンに油をうすくひいて炒める |
加熱時間 | 3分50秒(1/2袋) | 加熱時間(4~5分の半分程度) |
加熱用容器 | 皿 | フライパン |
加熱容器の材質 | 耐熱陶器 | 鉄ホーロー |
加熱容器の質量 | 361g | 440g |
加熱前の写真 |
なお、電力計はラトックシステム(株)のRS-WFWATTCH1です(下表参照)。1秒単位の消費電力の推移を確認しますが、一部欠測があるため、トータルの消費電力量は毎分の積算電力量から把握します。
表-4 電力モニター(ワットチェッカー)の仕様
項 目 | 内 容 | 外 観 写 真 |
---|---|---|
メーカー名 | ラトックシステム株式会社 | |
製品名・型番 | RS-WFWATTCH1 | |
電源 | 100V | |
測定範囲 | 1~1,500W | |
測定項目 | 毎秒の電圧、電流、消費電力 毎分の積算電力量、電気料金、CO2排出量 |
|
データ保存 | CSV形式 | |
通信方法 | Wifi |
また、都市ガスの使用量はガスメータから読み取ります。ガスメータの最小読み取り単位は1L ですが、ビデオ撮影により秒単位の映像を見ながら、0.1L単位のガス消費量を推計します(詳細は「ガスコンロ(2)-ガス消費力の測定」を確認ください)。
表-5 ガスメータの仕様
項 目 | 内 容 | 写 真 |
---|---|---|
メーカー名 | 東京ガス株式会社 | |
製品名・型番 | 通信機能付きマイコンメーター JO型 | |
表示 | ガス消費量積算値 | |
最小読み取り値 | 0.001m3 | |
最大圧力 | 3.5kPa | |
最大流量 | 4m3/h | |
機能 | 過大流量遮断、圧力低下遮断、感震遮断、継続時間オーバ―遮断、微小もれ疑い警報 |
エネルギー消費量の測定結果
(1)火力レベル別の熱量の再計測
今回焼飯のあたための計測を行った結果、ガスコンロの「中火」(火力レベル3)のガス消費量が以前測定したものと異なっていることが分かり、再度火力レベル別のガス消費量を測定しました。その結果を下表と下図に示します。
表-6 ガスコンロの火力レベル別のガス消費量、熱量
火力レベル | 1 | 2 | 3「中火」 | 4 | 5 |
---|---|---|---|---|---|
1L消費の時間 (min) | 1.82 | 0.93 | 0.42 | 0.27 | 0.19 |
1分消費量 (L/min) | 0.55 | 1.08 | 2.38 | 3.7 | 5.26 |
1時間消費量 (L/h) | 33 | 64.5 | 142.9 | 222.2 | 315.8 |
時間当り熱量 (kJ/h) | 1,478 | 2,890 | 6,402 | 9,955 | 14,148 |
時間当り熱量 (W=J/s) | 410 | 800 | 1,780 | 2,770 | 3,930 |
この表の値は前回測定したものより大きな数字となっています。特に「中火」の値が4割程度大きくなっています(以前の測定値は「ガスコンロ(2)-ガス消費量の測定」を確認ください)。また、最大火力(火力レベル5)も2割程度大きな値となっています。そのため、本製品の左右こんろ部の定格熱量である4.2kWの94%(=3,930/4,200)まで火力が大きくなりました。
この測定値が変化した原因ははっきりとは分かりません。都市ガスの供給圧力及び大気圧の変動、ガス器具のガス量の調整変更などが考えられますが、ガス器具の調整変更は行っておりません。東京ガスに問い合わせたところ、供給圧力が変動することはないとのことでした。
一方、ガス器具のメーカーに問い合わせたところ、ガス会社(ガバナーステーション)での供給圧力が一定でも、集合住宅の場合は各戸でガスを使っていると、時間帯によって圧力が変動することがあるとのことでした。確かに前回と今回の測定時間帯は異なっていました。今回の測定時間帯が各戸でのガス使用量が少ない時間帯であり、測定したガス器具における圧力が高くなり、その結果ガス量(流量)が大きくなったという可能性はあると思われます。
東京ガスでは「中火」の場合、時間当り130L/hのガス量が目安と顧客に案内しているそうです。前回測定した「中火」のガス量(98.4L/h)はこれよりかなり少なく、今回の測定値(142.9L/h)はこれよりも多いですが、より近い値となりました。ただしこれも目安の数字であり、ガス器具の設定や各戸での圧力により「中火」のガス量も変わってくる可能性があるようです。従ってガスコンロの火力レベル別のガス消費量及び熱量は参考値としてご確認いただくのが良いと思います。
なお、前回までの報告内容は、火力レベル別のガス量が変わっても結果については変わるものではありません。湯沸かしを行った「ガスコンロ(2)-ガス消費量の測定」では、沸騰までに消費したガス量を測定していますが、瞬間的なガス量(流量)が異なっていても、お湯を沸かすのに必要なガスの熱量が変わることはないため、結果は変わらないはずです。
一方、食品の調理方法でガスの火力と加熱時間を指定している場合は、圧力により火力別のガス量が変わるため、熱量は変わることが考えられます。ただし、製品に書かれている食品の加熱時間が今回の焼飯のように「4~5分」と幅があるのはその点を考慮しているのかもしれません。食品の出来上がりの状況を見てガスの加熱時間を決めることを求めていると思われます。
(2)エネルギー消費量の測定結果
焼飯を温める際の調理器具別の消費電力量、ガス消費量等の測定結果は以下の通りです。
まず、電子レンジの消費電力の推移を下図に示します。電子レンジの出力600Wを選択し、加熱時間は製品の記載にある通り3分50秒を設定しました。出力600Wの時の消費電力は1,100Wが一般的ですが、今回の測定結果の平均値は1,070Wでした。
次に、ガスコンロの累積のガス消費量を下図に示します。「中火」で加熱し、2分30秒後に自動的に火力が変更されています。これは高温自動温度調節機能が作動したためです。本来はここで加熱を停止する必要があったかもしれませんが、少し焦げ目をつけることが好みであるため、その後1分炒めた後に停止しました。
その結果、電子レンジによる加熱に要した消費電力量は68.3Whでした。また、ガスコンロのガス消費量は7.5Lでした。ガスコンロは焦げ目をつけた分、ややガス消費量が多くなっている可能性があります。
調理器具のエネルギーコストと二酸化炭素排出量
ここでは、エネルギーコストと二酸化炭素排出量を算出します。測定結果より調理器具が焼飯に加えた熱量は電子レンジは245.9kJ、ガスコンロは336.0kJでした。ここで、焼飯が受けた熱量はそれぞれの調理器具の熱効率を乗じることで得られます。熱効率がどちらも55%程度で同じと考えると(表-1参照)、ややガスコンロが多くの熱量を与えたことになります。これは、焦げ目をつけることで余分のエネルギーを要したと考えられます。
これらから、熱量当りのエネルギー単価、熱量当りの二酸化炭素排出量を乗じることによりコストと二酸化炭素排出量を算定しました。
表-7 調理器具別の加熱量、コスト、二酸化炭素排出量
項目 | 単位 | 電子レンジ A | ガスコンロ B | A/B | |
---|---|---|---|---|---|
加熱量 | 加熱時平均消費電力(熱量) | W | 1,100 | 1,780(中火) | - |
加熱継続時間 | 分 | 3分50秒 | 3分30秒 | - | |
消費電力量 | Wh | 68.3 | - | - | |
都市ガス消費量 | L | - | 7.5 | - | |
加えた熱量 | kJ | 245.9 | 336.0 | 0.73 | |
コスト | 熱量当りエネルギー単価 | 円/MJ | 9.17 | 3.79 | 2.42 |
コスト(電気、ガス代) | 円 | 2.3 | 1.3 | 1.77 | |
二酸化炭素 排出量 | 熱量当り二酸化炭素排出量 | kg-CO2/MJ | 0.1242 | 0.0499 | 2.49 |
二酸化炭素排出量 | kg-CO2 | 0.031 | 0.017 | 1.82 |
<熱量当りエネルギー単価>
電気:東京電力エナジーパワー㈱の40A契約の400kWh/月の使用時における単価(2022年1月から5月の平均値)を熱量当たりに換算
都市ガス:東京ガス㈱の13A・45MJの契約で50m3/月の使用時における単価(2022年1月から5月の平均値)を熱量当りに換算
<熱量当り二酸化炭素排出量>
電気:東京電力エナジーパワー㈱の消費電力量当りの基礎排出係数(2020年度実績)を熱量当りに換算
都市ガス:環境省、温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度の算定方法・排出係数一覧より
コストをみると、表-7及び下図の通り電子レンジ2.3円、ガスコンロ1.3円と、電気の方が1.8倍多くとなっています。電子レンジは加えた熱量が少ないにもかかわらずガスコンロよりも大きくなっているのは、これまでと同様の理由(熱量当りのコストが電気の方がガスよりも約2.42倍高いため)です。
また、二酸化炭素排出量は電子レンジが0.031kg-CO2、ガスコンロが0.017kg-CO2で、同じく電気の方が1.8倍多くなっていました。これも熱量当りの二酸化炭素排出量が電気がガスの2.49倍になっているためです。今後、電力の電源構成が改善されて再生可能エネルギーの比率が多くなると考えられますが、当面は都市ガスの方がコスト面でも、二酸化炭素排出面でも優位であると考えられます。
電子レンジはレトルト食品のあたためにおいては、非常に効率的なあたためが可能でした。常温で200gのレトルトカレーを、熱量83kJで温めることができました。また、前回のオーブントースターによる常温の270gのピザのあたためには453kJの熱量を要したのに対し、今回の焼飯のあたためには冷凍で240gの質量に対して245.9kJの熱量で足りました(熱負荷的にはほぼ同じ条件)。このことから、電子レンジは冷凍食品のあたためにも効率的であることが分かります。これは、電子レンジのマイクロ波が冷凍食品の加熱に効果的であることを示しています。
これまで、電気及び都市ガスをエネルギー源とする調理器具のエネルギー消費量の測定を行ってきましたが、次回はこれまでのとりまとめを行います。また、電気と都市ガスのコストと二酸化炭素排出量を比較してきましたが、条件が変わった場合(月消費量や発電の電源構成の変化など)を想定した分析も行って、将来を見据えた省エネ及び脱炭素化の対策を検討してみたいと思います。
まとめ
今回は調理器具の比較の4回目として冷凍食品の焼飯を電子レンジとガスコンロ(こんろ部)を用いて温め、その際のエネルギー消費量について分析しました。
温めた製品は、マルハニチロ㈱の冷凍焼き飯、480g(2人前)であり、このうち1/2(240g)を冷凍のまま、電子レンジは600Wで3分50秒、ガスコンロは「中火」で3分30秒温めました。電子レンジの消費電力量は68.3Wh、ガスコンロのガス消費量は7.5Lでした。これらの結果より、調理器具が焼飯に加えた熱量は電子レンジは245.9kJ、ガスコンロは336.0kJでした。
得られた熱量に熱量当りのエネルギー単価、熱量当りの二酸化炭素排出量を乗じることによりコストと二酸化炭素排出量を算定しました。コストは電子レンジ2.3円、ガスコンロ1.3円となりました。また、二酸化炭素排出量は電子レンジが0.031kg、ガスコンロが0.017kgでした。今回の結果から、エネルギー別のコストと二酸化炭素排出量の比較では、電気の方が都市ガスよりもどちらも1.8倍程度多い結果となっていました。
焼飯の温めに要した電子レンジの熱量は245.9kJであり、前回のオーブンレンジがピザを焼いた際の熱量(453kJ)に比べると非常に少ない熱量でした。前者は冷凍で240g、後者は常温で270gの食品ですので、熱負荷的には同じ条件と言えます。このことから、電子レンジは冷凍食品のあたためには非常に効率的と言えます。
ところで、今回の焼飯のあたためでガスコンロのガス消費量を測定した際、火力レベル別のガス消費量(熱量)が大きく異なっていました。そのため、前回の報告で行ったものと同じ方法で火力別のガス消費量を測定し、熱量を計算しました。その結果、前回に比べて「中火」(火力レベル3)の熱量が前回に比べて4割以上大きな値となりました。また最大火力(火力レベル5)も2割程度大きくなり、定格熱量4.2kWの94%となりました。
この原因は、メーカーによると「集合住宅の場合は各戸でガスを使っていると、時間帯によって圧力が変動することがある」とのことでした。確かに前回と今回の測定時間帯は異なっていました。今回の測定時間帯が各戸でのガス使用量が少ない時間帯であり、測定したガス器具における圧力高くなり、その結果ガス量(流量)が大きくなったという可能性はあると思われました。このことからガスコンロの火力レベル別のガス消費量、熱量は参考値としてご確認いただくのが良いと思われます。
次回は調理器具のエネルギー消費のとりまとめを行います。また、電気と都市ガスのコストと二酸化炭素排出量について、条件が変わった場合の分析も行って、将来を見据えた省エネ及び脱炭素化の対策を検討してみたいと思います。