Categories
照明

LED照明③-自宅照明のLED化

LED照明に交換する際の留意点

 前回の報告(LED照明①-省エネ性能)でLED照明の省エネ性能や特徴を説明してきました。しかし、実際にどのように自宅の照明を更新していくか悩まれている方も多いでしょう。既に、多くの照明をLEDに更新している方も多いと思いますが、ここでは意外と分かりにくい照明器具のLED化について具体例を通じて検討していこうと思います。

 まず、既設の電球や蛍光灯をLEDに変えるために考慮しなければならないことを以下に説明します1)

 ①口金の大きさを選ぶ(現状のソケットにあった口金を選ぶ)
 ②光色を選ぶ
 ③明るさを選ぶ
 ④光の広がりを選ぶ

 まず、電球の口金と照明器具のソケットが合った大きさであることが必要です。下図にその口金の形状、寸法を示しています。

出所)一般社団法人日本照明工業会、電球形LEDランプガイドブック、第2版

 次に、LED電球は光の色を選ぶことができ、①電球色、②昼白色、③昼光色の中から、用途に応じて選択することになります。
 明るさは前回の報告にも示した通り、一般電球との関係は以下の通りです(日本照明工業会資料から大型部分を省略)。ここでは、E17口金についても示します。

表-1 一般電球(E26口金)とLED電球との対応

No.一般電球LED電球の全光束
120形170lm以上
230形325lm以上
340形485lm以上
460形810lm以上
580形1,160lm以上
6100形1,520lm以上
出所)一般社団法人日本照明工業会、電球形LEDランプガイドブック、第2版よりE26 口金の一般電球とLED電球との対応を示す。

表-2 一般電球(E17口金)とLED電球との対応

No.一般電球LED電球の全光束
125形230lm以上
240形440lm以上
350形600lm以上
460形760lm以上
575形1,000lm以上
6100形1,430lm以上
出所)一般社団法人日本照明工業会、電球形LEDランプガイドブック、第2版よりE17 口金の一般電球とLED電球との対応を示す。

 最後に、光の広がりについては、以下の3種類があり、その種別のLED電球の種類を下図に示します。
 ①全般配光タイプ
 ②準全般配光タイプ
 ③光が集中するタイプ

出所)一般社団法人日本照明工業会、電球形LEDランプガイドブック、第2版

蛍光灯からLED照明への交換事例

 X氏宅もかなり多くの照明をLEDに変えましたが、それでも蛍光灯がいくつか残っていますので、その消費電力を比べてみました。下表に各部屋にある照明をリストアップしたものを示します。部屋面積73m2超の集合住宅で、全ての照明の定格消費電力の合計は310W程度になります(ここには机で使う電気スタンドは含まれておりません)。エアコンや電熱器などに比べると少なく感じますが、一日中照明をつけている場合もあるため、トータルの電力量は馬鹿にならないと思います。

 下表には、照明の種類、定格消費電力、部屋の面積、面積当たりの定格消費電力を示しています。現在、残っている蛍光灯はキッチン、和室、玄関ですが、面積当たりの定格消費電力はLEDの部屋に比べて2倍以上になっています。

表‐3 X氏宅の照明の現状

部屋メーカー種別定格
電力
(W)
部屋内
総電力
(W)
部屋
面積
(m2)
面積当り
消費電力
(W/m2)
リビング日立LED32.276.220.33.76
ODELICLED44
キッチン

(シンク)
Panasonic蛍光灯37556.29.72
DAIKO蛍光灯18
和室Panasonic蛍光灯30589.75.97
Panasonic蛍光灯28
洋室1PanasonicLED373710.73.45
洋室2PanasonicLED
31.131.112.02.60
玄関Panasonic蛍光灯24241.416.78
廊下アイリスオーヤマLED 3個4.6×313.84.33.22
洗面所PanasonicLED 2個3.9×29.73.92.47
E-brightLED 1.9
トイレE-brightLED 1.91.91.41.41
浴室E-brightLED 2個1.9×23.83.51.09
住居合計310.573.33.94

 さて、蛍光灯のLED化の対象として、キッチンと玄関の蛍光灯をLED化することとしました。和室とキッチン(シンク上)の蛍光灯は点灯時間が少ないためLED化から外しました。キッチンの蛍光灯(直管)の型番はFL40SS-ENW/37、照明器具はHHA4002T(半導体式高力率)です。照明器具は20年以上一度も交換したことはありません。

 既存の直管蛍光灯に置き換えが可能なLED照明として直管蛍光灯形LEDランプがあります。いろいろなネット情報を見ると蛍光灯をLEDに変える場合、安定器のバイパス工事(または安定器を取り外す)を行ってLEDを取り付ける場合と、工事不要のLEDを取り付ける2通りがあるようです。工事不要の場合のメリットは工事費がかからないことですが、デメリットは以下のように多くの点があげられています。

●安定器を取り付けたままなので安定器の消費電力がかかり省エネ効果が低下
●安定器が故障または寿命がきたら安定器を取り換える必要あり
●既存の照明器具に対応した工事不要LEDを選択するのが困難

 既に20年以上使用しているものなので照明器具の寿命も近いと思われます。そのため照明器具全体を取り換えることも考えられます。そのため近所の電気屋さんと相談して、照明器具も交換してLEDにするか、既設照明器具を使う場合は工事をお願いすることにしました。

 次に、玄関の蛍光灯は型番FHT24EX-Lです。これは特殊な口金なので、一般的なLED電球に交換することはできません(写真参照)。この蛍光灯に互換のLED製品がネットで売られているのでこれに交換することも考えましたが、電気の知識が浅い人がやると事故につながりかねませんので、これも電気屋さんと相談した方がよさそうということになりました。

 近所の電気屋さんと相談した結果、彼がお勧めしたLED化案は以下の通りです。彼のお勧めは、キッチンについてはやはり照明器具全体を交換するものです。下表に既設と改良案の比較表を示しています。オーデリックがキッチン用の直管LED照明(OL551- 339NR、昼光色)を出しているのでそれに交換します。全光束が1,420lmなので既存照明の全光束よりかなり暗いのですが、工事後はほとんど変わらない明るさで問題ありませんでした。

表-4 キッチンの照明のLED化

メーカー 型 番全光束
(lm)
定格消費
電力(W)
固有エネルギー
消費効率(lm/W)
 備 考
既設
(照明器具)
パナソニックHHA4002T - -生産終了
既設
(蛍光灯)
パナソニックFL40SS-ENW/37 3,560 37 96.2生産終了
改良案オーデリックOL551- 339NR 1,420 14101.4税抜き
23,000円
注)LED照明の価格は定価(税抜き)です。

 玄関の照明も同じメーカーのボール形LED電球(OD301-040LR、電球色)です。ネットで売られているLED互換品は寿命が短いこと、電圧が低い場合には点灯しない場合があることなどから、お勧めしないとのことでした。専門家の指導に従い互換製品は使わず、一般のLED電球が使えるように(口金が合うように)工事してもらいます。既存照明器具の開口部が直径200mmと大きかったためこれと同じ大きさのものを探すのが大変でした。

表-5 玄関の照明のLED化

メーカー 型 番全光束
(lm)
定格消費
電力(W)
固有エネルギー
消費効率(lm/W)
 備 考
既設
(照明器具)
松下電工
(パナソニック)
NFTX21790 - -生産終了
既設
(蛍光灯)
パナソニックFHT24EXL 1,800 24  75.0
改良案オーデリックOD301-040LR 1,120 12   93.3税抜き
9,800円
注)LED照明の価格は定価(税抜き)です。

 LED化の施工前後の照明の写真を下に示します。新しいLED照明の定格消費電力はキッチンが14Wで既設蛍光灯の38%、玄関は12Wで既設の50%です。エネルギー消費効率はそれぞれ101.4%、93.3%となっています。工事費は結構かかりましたが、長年の懸案であったLED化ができたことで満足のいく結果となりました。

キッチンの蛍光灯
(施工前 )
キッチンのLED
(施工後)
玄関の蛍光灯
(施工前 )
玄関のLEDボール形電球(施工後)

まとめ

 現在ある蛍光灯をLEDに変える留意点を整理しました。既存の電球や蛍光灯の口金の大きさを確認するとともに、部屋にあった光色、明るさ、光の広がりを選ぶことが大切です。LED照明は光の広がりがないという特徴がありましたが、最近は全般配光(光が空間の全方向に広がる)のものも製造されているようです。

 既設の蛍光灯をLED化した事例では、ネットなどで互換品を購入して自分で取り付ける場合には注意が必要だということが分かりました。安定器を外すのも電気工学の知識が必要ですし、素人が見よう見まねで工事をすると事故につながりかねません。また、ネットに流通している製品は安くても粗悪品もあるようですので、専門家に相談するのが良いと思われます。 

<参考文献>
1) 一般社団法人日本照明工業会、電球形LEDランプガイドブック、第2版