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給湯機器

ガス温水器(1)-省エネ性能

 今回から温水器の消費エネルギーについて検討していきます。温水器は湯沸器または給湯機とも呼ばれています。これまで家庭の電気機器並びにガス調理器具(ガスコンロ)について取り上げてきました。温水器にはガスをエネルギー源とするものだけでなく、石油や電気をエネルギー源としたものもあります。温水器は炊事や洗面に使われるほかに風呂の給湯や温水暖房(主として床暖房)にも使われています。

 資源エネルギー庁の統計1)によると、左図に示すように給湯は世帯のエネルギー消費量の28.8%(2019年実績)を占めています(世帯当りの熱量ベースの比率)。エネルギー消費量が多いと思われる暖房(24.7%)、冷房(2.7%)と比べても、その大きさが分かると思います。これは、風呂のお湯を沸かすことに多くのエネルギーを要するためと考えられます。

 これだけ多くのエネルギーを使っている温水器に対して、省エネについて整理しておくことは大変重要と思われます。今回は、都市ガス(またはプロパンガス)を燃料とするガス温水器について、省エネ性能等を整理します。

ガス温水器の用途と特徴

 ガス温水器は給湯、風呂、暖房等に利用されており、これらが単独でまたは組合わされていろいろなタイプの機器が提供されています。暖房は主として温水の循環による床暖房ですが、パネル内に温水を通して住居内を暖房するタイプもあるようです。以下、ガス温水器の特徴について、メーカー等の公式Webサイトから引用します。

 下の図は全ての機能(給湯、風呂の「湯はり」+「追い焚き」、温水暖房)を備えたガス給湯暖房用熱源機のイメージを示しています2)。ここで、風呂の「湯はり」は設定された水温と水位で自動的に給湯でき、「追い焚き」は高温の給湯による風呂の温めなおしを意味します。

出所)リンナイ株式会社:公式Webサイト、給湯器、ガス給湯器、ガス給湯暖房用熱源機

 ガス温水器の能力は、号数で表されます。号数とは、水温+25℃のお湯が、1分間に出る量(L)のことです。例えば1分間に24Lのお湯が出せれば、24号となります。熱量換算では、1号当り1,500kcal(1.74kw)のパワーがあります。4人家族の場合は24号、2人家族であれば20号が推奨されています。10号は厨房のみの1ヵ所の給湯に適しています。

 また、下図に示すように、春・秋と冬では水温が平均17℃と5℃のように大きな差があるため、設定温度を42℃とした場合は24号の能力でも冬では16L/分の能力に低下してしまうようです2)。また、給湯能力は配管の長さや口径、給水圧などによっても左右されます。

出所)リンナイ株式会社:公式Webサイト、給湯器、ガス給湯器を参考に作図

 近年のガス風呂給湯器は、風呂の「湯はり」から、「追い焚き」、保温、たし湯まで、すべて自動的に行うものがあり、いつでも24時間一定の温度、水位を保ちます。自動保温は、約30分(季節によって時間が変化)ごとにお湯の温度をチェックします。これらは、センサーにより温度と水位を監視、制御していることにより実現するものであり、エネルギー源としてはガスだけでなく電気も利用することになります。

 一般的なガス給湯器の熱効率は後に示すように80%程度ですが、近年では高効率の給湯器(エコジョーズ)が登場し販売されています。これは下図に示すように熱交換器を2つ設置して、排熱も利用して温水を供給するものであり、熱効率は95%程度と言われています3)

出所)日本ガス協会:公式Webサイト、ガスの利用、省エネ型高効率給湯器(エコジョーズ)

 温水暖房とは、熱源機で加熱した暖房用の温水を、暖房用のポンプで部屋に設置した床暖房などの端末機に循環させ、その熱を利用して暖房するしくみです。温水暖房の中心は床暖房ですが、温水マットや温水ルームヒーターなどの各種の暖房製品が提供されています2)

省エネ基準(基準エネルギー消費効率)

(1)ガス温水器の省エネ基準(目標年度2006年度)

 ガス温水器の省エネ基準等は2002年経済産業省告示第434号(制定)「ガス温水機器のエネルギー消費性能の向上に関するエネルギー消費機器等製造事業者等の判断の基準等」、最終改定2021年経済産業省告示第97号によって規定されています。

 2021年の告示によって新しく目標年度が2025年の省エネ基準が設定されましたが、旧告示の目標年度は瞬間湯沸器、ふろがまは2006年、暖房機器は2008年度でした。ここでは、まず旧告示の省エネ基準を示します。なお、省エネ基準の詳細は本サイトの「ガス温水器のエネルギー消費効率」を参照ください。

 ガス温水器の区分別の省エネ基準(目標年度2006年)を表-1に示します。同表に示すように、省エネ基準は2006年度目標(または2008年度)のものについては、種別(瞬間湯沸器、ふろがま、暖房機器の3種)、通気方式(自然通気、強制通気の2種)、循環方式(自然循環、強制循環の2種)、給排気方式(開放、半密閉、密閉、屋外の4種)により区分が決められています。

 ガス温水器のエネルギー消費効率の指標は熱効率です。下表に示す通り、ガス温水器の省エネ基準(熱効率の基準)は70%台が多く、最大でも83.5%(区分A)となっています。

表-1 ガス温水器の省エネ基準(目標年度2006年度または2008年度以降)

   区 分基準エネルギー
種別通気方式循環方式給排気方式区分名消費効率(%)
ガス瞬間湯沸器自然通気式開放式 A 83.5
開放式以外のもの B 78.0
強制通気式屋外式以外のもの C 80.0
屋外式 D 82.0
ガスふろがま
(給湯付のもの以外)
自然通気式自然循環式半密閉式又は密閉式 (給排気部
が外壁を貫通する位置が半密閉
式と同程度の高さのもの)
 E 75.5
密閉式(給排気部が外壁を貫通
する位置が半密閉式と同程度
の高さのもの以外)
 F 71.0
屋外式 G 76.4
強制通気式自然循環式 H 70.8
強制循環式 I 77.0
ガスふろがま
(給湯付のもの)
自然通気式自然循環式半密閉式又は密閉式(給排気部
が外壁を貫通する位置が半密閉
式と同程度の高さのもの)
 J 78.0
密閉式(給排気部が外壁を貫通
する位置が半密閉式と同程度
の高さのもの以外)
 K 77.0
屋外式 L 78.9
強制通気式自然循環式 M 76.1
強制循環式屋外式以外のもの N 78.8
屋外式 O 80.4
ガス暖房機器
(給湯付のもの以外)
 P 83.4
ガス暖房機器
(給湯付のもの)
 Q 83.0

(2)ガス温水器の省エネ基準(目標年度2025年度)

 目標年度が2025年度については、用途(瞬間湯沸器、ふろがま、暖房機器)、通気方式(自然通気式、強制通気式)、構造(壁貫通型、壁組込型、強制給排気式、強制排気式、レンジフード一体型、その他)により区分が決められ、シンプルな分類になりました。

 これは、製品の普及が少ない旧区分の「B」、「J」、「K」、「L」、「M」、「N」を適用除外したことによります7)。新しい区分での省エネ基準は表-2の通りです。瞬間湯沸器で自然通気式が「区分Ⅰ」、強制通気式が「区分Ⅱ」、ふろがまが「区分Ⅲ」、暖房機器が「区分Ⅳ」です。「区分Ⅱ」と「区分Ⅲ」は構造によりさらに細かく分類されています。構造については、下図に示す通りです。

 目標年度が2025年度の省エネ基準は、瞬間湯沸器の強制通気式は84%前後(構造により変わります)、ふろがまは87%前後、暖房機器は90%以上の基準値になっており、多くの区分で80%を超える性能となっています。

表-2 ガス温水器の省エネ基準(目標年度2025年以降)

   区    分基準エネルギー消費効率又はその算定式
区分名 用 途 通気方式  (%)
 Ⅰガス瞬間湯沸器自然通気式 η=77.50
 Ⅱ強制通気式 η=84.37×αⅡi
 Ⅲガスふろがま η=87.21×αⅢi
 Ⅳガス暖房機器 η=90.32
備考 1. ηは次の数値を表すものとする。
 η:基準エネルギー消費効率(%)
2. αⅡi は次の表の左欄に掲げる構造の種類に応じ、同表の右欄に掲げる数値とする。
    構造の種類   αⅡi 
 構造名 構 造 
 Ⅱ-1壁貫通型 0.9998
 Ⅱ-2壁組込型 0.9869
 Ⅱ-3強制給排気式 0.9900
 Ⅱ-4強制排気式(従来型に限る。) 0.9661
 Ⅱ-5レンジフード一体型(従来型に限る。) 0.8415
 Ⅱ-6その他 1.0000
3.αⅢi は次の表の左欄に掲げる構造の種類に応じ、同表の右欄に掲げる数値とする。
   構造の種類 αⅢi 
 構造名 構 造
 Ⅲ-1壁貫通型 0.9839
 Ⅲ-2壁組込型(従来型に限る。) 0.9576
 Ⅲ-3その他 1.0000
4. 「壁貫通型」とは、日本産業規格 (以下JISと略称) S2092(2010)の4の表3の屋内式機器の給排気方式による区分に規定する密閉式かつ自然給排気式(BF)の機器の給排気筒トップに置き換えて設置する機器であってJIS S2092(2010)の表2の屋内外設置による区分に規定する屋外式の機器をいう。
5. 「壁組込型」とは、壁組込型取付ボックスと一体の機器としてガス機器防火性能評定試験により評定された機器であってJIS S2092(2010)の表2の屋内外設置による区分に規定する屋外式の機器をいう。
6. 「強制給排気式」とは、JIS S2092(2010)の4の表3の屋内式機器の給排気方式による区分に規定する密閉式かつ強制給排気式(FF)の機器をいう。
7. 「強制排気式」とは、JIS S2092(2010)の4の表3の屋内式機器の給排気方式による区分に規定する半密閉式かつ強制排気式(FE)の機器をいう。
8. 「レンジフード一体型」とは、JIS S2092(2010)の4の表3の屋内式機器の給排気方式による区分に規定する密閉式かつ強制給排気式の強制給排気外壁式(FF-W)の機器であって操作部がレンジフードに内蔵されており給気管及び排気管の直径が40mm以下の機器をいう。
9. 「従来型」とは、JIS S2091(2013)の4.4のa)の燃焼機器の種類に規定する潜熱回収型燃焼機器以外の機器をいう。
出所)総合資源エネルギー調査会、省エネルギー・新エネルギー分科会、省エネルギー小委員会、ガス・石油機器判断基準ワーキンググループ取りまとめ、2020年7月

目標年度2006年度の製品の消費エネルギーに関する特性

(1)省エネ区分別の製品数

 現在、生産・販売されているガス温水器製品の省エネ性能について、資源エネルギー庁の省エネ型製品情報サイトからデータを集計して分析します。まず、目標年度が2006年の製品について集計すると下表の通りです。登録されている製品数は6,141であり、区分別では「区分D」、「区分O」、「区分Q」が多くなっています。これらは強制通気式で「給排気方式」が屋外式の製品が多いことを意味します。

 「区分B」(ガス瞬間湯沸器、自然通期式、開放式以外)、「区分H」(ガスふろがまの給湯付き以外で強制通気式、自然循環式のもの)と「区分L」(ガスふろがまの給湯付きのもので自然通期式、自然循環式、屋外式のもの)は登録がありませんでした。

表-3 省エネ区分別の製品数(目標年度2006年度)

区 分製品数
種別通気方式循環方式給排気方式区分名
ガス瞬間湯沸器自然通気式開放式27
開放式以外のもの0
強制通気式屋外式以外のもの92
屋外式846
ガスふろがま
(給湯付のもの以外)
自然通気式自然循環式半密閉式又は密閉式7
密閉式20
屋外式13
強制通気式自然循環式0
強制循環式9
ガスふろがま
(給湯付のもの)
自然通気式自然循環式半密閉式又は密閉式12
密閉式165
屋外式0
強制通気式自然循環式4
強制循環式屋外式以外のもの99
屋外式2,763
ガス暖房機器
(給湯付のもの以外)
40
ガス暖房機器
(給湯付のもの)
2,044
合  計6,141
出所)資源エネルギー庁:省エネ型製品情報サイト、ガス温水器、2022年6月16日閲覧

(2)省エネ基準達成率別の製品数

 次に、省エネ区分別、省エネ基準達成率別の製品数を下表と下図に示します。省エネ基準が満たされていない製品が48ありますが、その割合は1%未満です。

表-4  省エネ区分、省エネ基準達成率別の製品数(目標年度2006年度)

区分/基準達成率 ≦94%95-99%100-104%105-109%110-114%≧115%合計
 A002700027
 B0000000
 C0071021092
 D0165831219135846
 E0070007
 F002000020
 G001300013
 H0000000
 I0072009
 J001200012
 K01164000165
 L0000000
 M0040004
 N0253004499
 O0783506341,2872,763
 P013900040
 Q8135810144202,044
 合計8402,4161232,1881,3666,141
出所)資源エネルギー庁:省エネ型製品情報サイト、ガス温水器、2022年6月16日閲覧

 省エネ基準の達成率が110%を超える製品は、「区分O」、「区分Q」に多いことが分かります。これらの製品は前述した高効率給湯器(エコジョーズ)製品が含まれている可能性があります。

目標年度2025年度の製品の消費エネルギーに関する特性

(1)省エネ区分別の製品数

 目標年度が2025年の製品について、資源エネルギー庁の省エネ型製品情報サイトの情報より取りまとめると以下の通りです。「区分Ⅱ-6」と「区分Ⅲ-3」が製品数が多く提供されています。これらは、旧区分の「区分D」と「区分O」の強制通気式で給排気方式が「屋外式」のものに対応しています。なお、「区分Ⅱ-2」と「区分Ⅱ-5」は製品の登録がありませんでした。

表-5 省エネ区分別の製品数(目標年度2025年度)

 区分名区分詳細 用途通気方式 構造製品数
 Ⅰ  Ⅰ ガス瞬間湯沸器自然通気式26
 Ⅱ  Ⅱ-1強制通気式壁貫通型29
 Ⅱ-2壁組込型0
 Ⅱ-3強制給排気式87
 Ⅱ-4強制排気式15
 Ⅱ-5レンジフード一体型0
 Ⅱ-6その他1,168
 Ⅲ  Ⅲ-1ガスふろがま壁貫通型77
 Ⅲ-2壁組込型18
 Ⅲ-3その他2,260
 Ⅳ  Ⅳ ガス暖房機器1,393
 合計5,073
出所)資源エネルギー庁:省エネ型製品情報サイト、ガス温水器、2022年6月16日閲覧

 省エネ区分別に温水器の能力(号数)別の製品数を集計したものを下表に示します。「区分Ⅰ」は全ての製品が5号であり、瞬間湯沸器の自然通気式は小規模の温水器に限定されていることが分かります。製品の中心は、16号、20号、24号の3種です。「区分Ⅳ」は温水暖房だけでなく湯沸し、風呂の給湯も備えている製品があるため、24号の製品が多くなっています。

表-6 省エネ区分別、能力別の製品数(目標年度2025年度)

区分名/号数5号8号10号12号13号16号20号24号32号合計
 Ⅰ 2626
 Ⅱ-1191029
 Ⅱ-31383610287
 Ⅱ-438415
 Ⅱ-6546647122241,168
 Ⅲ-13314377
 Ⅲ-2610218
 Ⅲ-37929575112,260
 Ⅳ354809591,393
 合計26338111,7261,5681,70465,073
出所)資源エネルギー庁:省エネ型製品情報サイト、ガス温水器、2022年6月16日閲覧

(2)省エネ基準達成率別の製品数

 省エネ区分別、省エネ基準達成率別の製品数を下表と下図に示します。目標年度が2025年度とまだ時間があるため、省エネ基準が100%未満の製品が1,905製品(全体の38%)あります。しかし、105%以上の製品も1,355製品(同27%)あり、110%を超えているものも206製品(同4%)あります。これらの省エネ基準達成率が高い製品はエコジョーズ製品であると考えられます。

表-7 省エネ区分別、省エネ基準達成率別の製品数(目標年度2025年度)

区分詳細 /基準達成率≦94%95~99%100-104%105-109%≧110%合計
 Ⅰ 00260026
 Ⅱ-141609029
 Ⅱ-3093840087
 Ⅱ-403120015
 Ⅱ-610691562052061,168
 Ⅲ-1474026077
 Ⅲ-210800018
 Ⅲ-3671072086902,260
 Ⅳ4320961001,393
 合計1,1747311,8131,1492065,073
出所)資源エネルギー庁:省エネ型製品情報サイト、ガス温水器、2022年6月16日閲覧

(3)メーカー別の製品数

 最後に、メーカー別、省エネ基準達成率別の製品数を集計したものが下表と下図です。リンナイが2,500余りの製品を提供しており、次いでノーリツが947製品となっています。ノーリツは省エネ基準達成率が110%以上の製品を206製品(ノーリツが提供する製品の22%)提供しています。

表-8 メーカー別の省エネ基準達成率別の製品数(目標年度2025年度)

メーカー/基準達成率94%以下95-99%100-104%105-109%110%以上合 計
ノーリツ104442285206947
パーパス16652213860517
ハウステック173023043
パロマ19272681500482
リンナイ64956986147402,553
大阪ガス14031209790459
長府製作所002052072
合計1,1747311,813114,92065,073
出所)資源エネルギー庁:省エネ型製品情報サイト、ガス温水器、2022年6月16日閲覧

まとめ

 今回は、ガス温水器(給湯器ともいわれます)のエネルギー消費特性と製品の省エネ特性を整理しました。給湯は家庭のエネルギー消費量の3割程度を占めており、省エネ上は非常に重要な機器と言えます。

 ガス温水器は、給湯、風呂の湯沸かし、温水暖房といろいろな用途に使われています。特に風呂の水量が多いために、エネルギー消費量が多くなるようですが、最近では温水暖房、特に床暖房による給湯の用途も増加してきているようです。24時間風呂の温度を一定に保つ自動化機能が付いた機種もあるなど、省エネ面で工夫する必要があるものも多いと思われます。

 一般的な温水器の熱効率は80%程度ですが、近年開発された高効率温水器(エコジョーズ)は、熱交換器2基を設置して排熱を利用することで、熱効率を95%程度まで向上させています。価格は高くなりますが、これらへの買い換えをすることで、エネルギー消費量を減少させることができます。

 ガス温水器は省エネ法の特定エネルギー消費機器に指定されており、2002年の告示により初めて省エネ基準が設定されてから、2021年に最終改訂が行われています。現在、2006年目標年度(ガス暖房機器は2008年度)と2025年目標年度の2種類の基準が示されています。

 温水器のエネルギー消費効率の指標は熱効率です。目標年度2006年度の省エネ基準が70%から80%程度であったのに対し、目標年度2025年度のそれはほぼ80%以上に変わってきています。省エネ基準は従来型と高効率型(エコジョーズ)の区分はせず、これらの普及の状況を加味して基準が決められています。

 目標年度2025年度の基準では、省エネ区分を用途(瞬間湯沸器、ふろがま、暖房機器)、通気方式(自然通気式、強制通気式)、構造(壁貫通型、壁組込型、強制給排気式、強制排気式、レンジフード一体型、その他)により区分されて、省エネ基準が決められています。

 目標年度2025年度の瞬間湯沸器で自然通気式のものは77%と低い基準値のままですが、強制通気式は84%前後(構造により変わります)です。また、ふろがまは87%前後、暖房機器は90%以上の基準値になっており、目標年度に向けて効率の良い製品が普及していくものと想定されます。

 資源エネルギー庁の省エネ型製品情報サイトから現在登録されている製品の省エネ性能を把握しました。目標年度2006年度の製品は省エネ基準を満たしていない製品はごくわずか(全体の0.4%)ですが、目標年度2025年度の製品は省エネ基準を満たしていない製品は38%ありました。

 一方、2025年目標の製品でも省エネ基準を110%以上達成している製品が4%程度あるなど、エコジョーズの普及も進んでいるものと想定されました。給湯の用途のエネルギー消費の割合が高いことから、省エネ型製品を購入することが家庭の省エネにつながるので、賢く製品を選択することが必要です。

 次回は、ガス温水器による風呂の利用時のガス消費量を実際に測定して、どの程度のエネルギー消費量となっているか、また熱効率などについて分析する予定です。

<参考文献>
1)資源エネルギー庁:「令和2年度エネルギーに関する年次報告」(エネルギー白書2021)、家庭部門のエネルギー消費の動向
2)リンナイ株式会社:公式Webサイト、給湯器、https://rinnai.jp/products/waterheater/
3)日本ガス協会:公式Webサイト、ガスの利用、省エネ型高効率給湯器(エコジョーズ)
4)2002年経済産業省告示第433号(制定)「ガス調理機器のエネルギー消費性能の向上に関するエネルギー消費機器等製造事業者等の判断の基準」、最終改定2019年経済産業省告示第46号
5)総合資源エネルギー調査会、 省エネルギー基準部会、ガス・石油機器判断基準小委員会、最終とりまとめ、2002年4月
6)総合資源エネルギー調査会、省エネルギー基準部会、ガス・石油機器判断基準小委員会、最終取りまとめ、2004年5月
7)総合資源エネルギー調査会、省エネルギー・新エネルギー分科会、省エネルギー小委員会、ガス・石油機器判断基準ワーキンググループ取りまとめ、2020年7月
8)資源エネルギー庁:省エネ型情報サイト、ガス温水器、2022年6月16日閲覧